SVB破綻、融資だけでなく「危ない預金」に要注意
More Banks Will Fail Like Silicon Valley Bank, Former FDIC Chair Predicts
経営破綻したシリコンバレー銀行(SVB)本社の看板(3月10日、カリフォルニア州サンタクララ)Nathan Frandino-REUTERS
<ハイリターンを求めてSVBに預金した機関投資家は逃げ足も速かった。暗号資産関係の取引が多かったとされるシグネチャーバンクの経営破綻も同じ構造か?>
連邦預金保険公社(FDIC)のウィリアム・アイザック元総裁は、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻の影響を受け、さらなる銀行破綻の可能性を警戒している。
SVBはアメリカで16番目に大きい銀行で、40年近くにわたってテック系スタートアップにとって頼りになる金融機関だった。だが3月10日、経営不振の噂に怖気付いた顧客が預金を引き出し始めると経営破綻に追い込まれた。
連鎖破綻を回避するため、FDICはSVBを管理下に置き、1億5000万ドルの無保険預金の返済方法を検討することになった。SVBの破綻は、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻以来、金融機関として最大規模の破綻になった。
オンラインのニュースメディア、ポリティコは12日、金融業界では近い将来に同じような破顔が起こる可能性があると懸念が高まっている、と報告した。1981〜1985年までロナルド・レーガン政権下でFDIC総裁を務めたアイザックは同誌に対し、近いうちに銀行破綻が増えると思うが、その件数や規模は予測できないと述べた。
ポリティコは、アイザックがFDICに在籍中、数多くの銀行を破綻から救ったことを指摘している。彼が総裁を務めていた時期もインフレと金利の上昇が顕著だった。アイザックはその当時と現在の状況の類似を指摘する。
「疑いの余地はない。破綻はもっと増えるだろう。どれぐらい増えるのか? それはわからない。どれくらいの規模になるのか? それもわからない」とアイザックは言った。「だがこの状況は1980年代によく似ているような気がする」
破綻を導いた預金流出
ポリティコは、世界金融危機の時期を含む2006〜2011年にFDIC総裁を務め、金融破綻に直面したシーラ・ベアにも話を聞いている。
SVBの状況は、他の銀行に対する警鐘であり、融資や資産の質以上に、どのような要因が破綻につながるかを教えるものだ、とベアは語った。SVBのように顧客が新興ハイテク企業という特定の業界に集中しているのは銀行では珍しいことであり、そうでなければ、預金流出以外で破綻に至ることはなかったと専門家はみる。
「これは、負債(預金)にも目を向ける必要がある、という警鐘だ」と、ベアは言う。「より高い利回りを求める機関投資家の資金は不安定ということだ」。
12日までの報道によると、その後、暗号資産関係の取引が多かったとされるニューヨーク州のシグネチャー・バンクが経営破綻し、米財務省とFDICと連邦準備制度理事会(FRB)は、両行の預金を全額保護すると発表した。両行の破綻につながったパニック的な取り付け騒ぎが連鎖するのを防ぐためだ。
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