最新記事
金融危機

金融のドミノ倒し、次はドイツ銀行か

Deutsche Bank Collapse Risk Grows As Experts Wait for Next 'Domino to Fall'

2023年3月27日(月)15時54分
キャサリン・ファン

噂の的のドイツ銀行(ロンドン支店) Toby Melville-REUTERS

<ドイツ銀行の株価が急落。シリコンバレー銀行とクレディ・スイスに続く破綻を市場は懸念する>

今月初めのシリコンバレー銀行の破綻に端を発し、スイスの大手銀行クレディ・スイスに飛び火するなど世界に広がった金融不安で、またも大手が危険領域に足を踏み入れてしまった。今度はドイツ最大のドイツ銀行だ。

ドイツ銀行の株価は先週末の24日、11%下落し、経営危機の恐れに直面している。今回の金融不安が始まった8日以降で考えると、下落幅は29%に達する。

「(金融界は)さらなるドミノ倒しが起きる瀬戸際にいる。次のドミノと目されているのは明らかに(それが正当な見方かどうかはとにかく)ドイツ銀行だ」と、IGグループの主任市場アナリストのクリス・ボーシャンはロイター通信に述べた。「金融危機は完全に一段落したわけではなさそうだ」

シリコンバレー銀行の破綻に続き、ヨーロッパでも大手金融機関が経営危機に陥った。

3月半ば、スイスの金融大手クレディ・スイスの株価は急落。経営破綻に直面したが、その一歩手前でスイスの同業最大手、UBSによる救済買収の交渉がまとまった。

ドイツ銀行の今回の株価下落は、クレディ・スイスの買収交渉の余波を受けたという側面がある一方で、金融システムへの信頼感がいまだに回復していないことを示している。欧州の金融機関の株価下落は3週目に入り、金融不安が始まって以降の下落幅は4.2%となっている。

債券投資家に損失

スイス政府の仲介によりクレディ・スイスが救済され、これで欧州市場は安定するだろうと当初は考えられていた。ところが影響の拡大を抑えるのは難しかったようだ。買収合意により、170億ドル分のクレディ・スイスの社債の価値がゼロとされてしまったことが、ドイツ銀行への懸念を深める要因となってしまった。

2019年からの大規模リストラで持ち直していたドイツ銀行の株価は、再び下落してしまった。ストックス欧州600種指数の銘柄中、最も値を下げたのもドイツ銀行だった。

次に倒れるのはドイツ銀行ではと懸念する人は多いが、一方でクレディ・スイスと同じ運命はたどらないだろうと楽観視するアナリストもいる。

「ドイツ銀行の存続の可能性やその資産価値に関し、われわれは全く不安視していない。はっきり言うが、ドイツ銀行は次のクレディ・スイスにはならない」と、調査会社オートノマスは24日のレポートで述べた。

ドイツのオーラフ・ショルツ首相は24日の記者会見でパニックに陥る必要はないとの見方を示し、ドイツ銀行は「ビジネスモデルを時代に合わせて徹底的に再編しており、非常に収益性の高い銀行だ」と述べた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 7
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 8
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 9
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 10
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中