韓国と日本酒の関わりとは?......農水省、韓国の日本酒輸入会社代表を「日本食普及の親善大使」に任命
韓国の日本酒市場は大きく3つ(富裕層、女性層、学生や若い会社員)に分けられる。Taka1022-shutterstock
<昨年、韓国は米国と中国に次ぐ世界3位の日本酒消費大国に返り咲いた......>
農林水産省は、韓国で日本酒の輸入を手掛ける全日本酒類の徐正勳(ソ・ジョンフン)代表理事と日本酒コリアの楊秉錫(ヤン・ビョンソク)代表理事を「日本食普及の親善大使」に任命し、2月7日、ソウルの日本大使館公報文化院で任命式が行われた。
農水省は2015年から「日本食普及の親善大使」を任命しており、今年度、世界で16人を任命した。昨年、韓国が輸入した日本酒は日本製品不買運動と新型コロナウイルスが重なった2020年の1027ドルの85%増の1899万ドルで、韓国は米国と中国に次ぐ世界3位の日本酒消費大国に返り咲いた。
2009年には米国に次ぐ世界2位の日本酒輸入国に
韓国政府が日本文化の解放策の一貫で日本酒の輸入を認めた翌年の1994年、京都の月桂冠が日韓合弁の韓国月桂冠を設立した。
当時、日本食はホテルなどで供される高級料理で、庶民が口にする機会はほとんどなく、韓国月桂冠は庶民向けの日本食チェーン「かつら」を展開した。
1999年に43キロリットルだった日本の韓国向け輸出は、2003年に100キロリットルを超えた後急増、2007年1000キロリットルに達し、韓国は、2009年には1954リットルを輸入して米国に次ぐ世界2位の日本酒輸入大国に浮上した。
居酒屋や日本酒販売コーナーを拡大したデパートが銘柄数を競うようになった2008年、銘柄を増やす必要に迫られた韓国月桂冠は合弁を解消、商号を全日本酒類に改めた。
韓国の中堅企業や個人が続々と日本酒事業や居酒屋などの日本食事業に参入した2008年から09年、日本からの進出も相次いだ。
アサヒビールを輸入していたロッテアサヒ酒類が日本酒の輸入を開始し、鳥取県境港市の老舗日本酒蔵元・千代むすびが輸入子会社を設立した。居酒屋チェーンでは、てっぺんやモンテローザが進出、居酒屋以外でもかっぱ寿司を展開するカッパクリエイトやあんどスシロー、CoCo壱番屋などが進出した。
東日本大震災で、輸入を全面的に停止
右肩上がりを続けた日本酒の韓国向け輸出だったが、2011年4月、全面的に停止する。
東日本大震災に伴う福島原発の事故を受け、韓国政府は日本から食品を輸入する際、日本政府機関が発行する証明書の提出を義務付けた。当時、韓国政府が求めた証明書は日本では商工会議所が発行しており、政府機関が発行する制度はなかった。
日本政府は商工会議所が発行する証明書の認定を求めたが、韓国政府が拒絶した。そこで、在韓日本大使館に出向していた農林水産省と厚生労働省の職員などを中心に制度作りが行われ、同年6月、国の委任を受けた都道府県が証明書の発行を開始した。