最新記事
トルコ

トルコ大地震、22日後に瓦礫から犬救出「まさに奇跡」

2023年3月5日(日)16時10分
佐藤太郎

倒壊した建物から鳴く声を飼い主が聞きつけた YouTube/KPRC 2 Click2Houston

<倒壊した建物からはまだ犬の吠える声がする。ペットたちが生きている可能性は残っているとレスキュー隊員は信じている>

2月6日にトルコでM7.8の大地震が発生してから22日目、瓦礫の中からハスキー犬が救出された。USA Todayや米People誌が伝えている。

救助にあたった隊員はトルコの通信社Anadoluに対し、「飲まず食わずで22日間生き延びたのは本当に奇跡だ」と語った。

救出された犬の名はアレックス。映像からは、救助隊員が2つのコンクリートの塊の間に手を入れて、救い出す様子が映し出されている。22日ぶりに瓦礫から解放されたアレックスは、すぐさま水を与えられ、強く抱きしめられた。

【動画】瓦礫の中にできた空間から救出されるアレックス

アレックスの体重は少し減っていたものの、概ね健康な状態にあるという。飼い主は、倒壊した2階建ての建物の跡から犬の鳴き声を聞いて、地元の動物愛護団体「Haytap」に電話し、無事救出に至った。

瓦礫の中に閉じ込められたまま

アレックス生還のニュースは、大事な家族であるペットを探す被災者の希望の光になったが、助けを求める動物は依然多い。レスキュー隊員ジネット・パタン(49)は、Haytapのウェブサイトで、「瓦礫の中にまだたくさんの動物が閉じ込められている」と言う。

米国人道協会の国際部門である「ヒューメン・ソサイエティ・インターナショナル(HSI)」の動物救助・獣医師チームは、2月6日地震発生を受けて、すぐに被災地アンタキヤ入りし、倒壊した建物の中からペットを探す支援を続けている。

被害の大きかった地域に毎日向かい、捜索するチームもいる。見つけた動物は、切り傷、打撲、栄養失調、脱水、感染症の症状があり、それを保護し安全な場所に連れて行く。

HSIの動物災害対応ディレクターであるケリー・ドニサンは「動物病院テントで地元の獣医やボランティアと協力していますが、助けを求める声が絶えない」と明かす。

避難するためにペットを置いて行かざるをえなかった飼い主たちは胸が張り裂けそうな思いで過ごしている。倒壊した建物からはまだ犬の吠える声がするという。ペットたちが生きている可能性は残っているとレスキュー隊員は信じている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

シェル、第1四半期は28%減益 予想は上回る

ワールド

「ロールタイド」、トランプ氏がアラバマ大卒業生にエ

ワールド

英地方選、右派「リフォームUK」が躍進 補選も制す

ビジネス

日経平均は7日続伸、一時500円超高 米株高や円安
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中