受験地獄はもう遠い過去......時代は「大学全入」から「大学淘汰」へ
これは大学全体の話で、有力大学に限ったら競争はまだ激しいのではないか、という疑問があるかもしれない。確かにそうで、「四当五落」(4時間睡眠なら合格、5時間睡眠なら不合格)の紙を貼って勉強に勤しんでいる受験生もいるだろう。しかし今後、少子化がますます進むにつれ、有力大学にも入りやすい時代がくる。
昨年(2022年)の出生数は77万人ほどで、これが2040年の18歳人口となる。この年の大学進学率が60%と仮定すると、大学進学者は46万人。国公立大学と有力私大の入学者数が今と変わらないとすると、どういう事態になるか。<図2>を見てほしい。
四角形全体を18歳人口(77万人)と見立て、その中において、有力大学入学者数がどれほどのシェアになるかをグラフにしたものだ。大学進学者(46万人)の中でのパーセンテージにすると4割近くにもなり、5人に2人が国公立大ないしは「MARCH」以上の私大に入れる計算だ。その他の私大、とくに入試難易度の低い私大は退場させられている可能性が高い。
2040年の大学進学者数46万人というのは、今の63万5000人と比べて3割近く少ないことになる。進学率が上がれば今のパイを維持することはできる、というのは楽観的に過ぎる。2040年の18歳人口は77万人なので、大学進学者63万5000人を確保するには、同世代ベースの進学率が82.5%にならないといけない。あり得ないことだ。
今後の人口ピラミッドの変化を見越して、社会人のリカレント教育(学び直し)に重点を移すことも必要になる。やせ細る18歳人口を奪い合うことだけに躍起になっている大学は、淘汰されるほかない。
<資料:文科省『学校基本調査』>