2人の人生を分けたもの──「性的対象」だったブルック・シールズとパメラ・アンダーソン
Another Wake-Up Call
痛々しい過去の映像
あんな映画、今ならあり得ない。今は少女の役も、たいていは大人の役者が演じている。しかし今回のドキュメンタリーで最高に腹が立つのは、当時の世間の反応だ。
幼いシールズを「世界で最も若いセックス・シンボル」と呼んだ新聞の大見出しがある。テレビのトーク番組に出演し、「大人っぽくて」美人だねと恥知らずなコメントを繰り返す男性司会者の前でぎこちなく笑顔をつくる彼女の映像がある。耐え難い。
『エンドレス・ラブ』のフランコ・ゼフィレッリ監督が、実は初めて会う前から彼女に「夢中で恋していた」と語るインタビューのシーンもある。横で聞いていたシールズの顔からは笑みが消えた。
幼い彼女がセクシーな役を演じることに、当時から眉をひそめる人もいた。でも責められるのは彼女と母親のテリばかりで、彼女にそんな役を振り、撮影する男たちの罪が問われることはなかった。
パメラ・アンダーソンが有名になったのは、もう少し後のことだ。シールズの『プリティ・ベビー』から約10年後の89年、カナダのバンクーバーで行われたフットボールの試合の観客席にいたところをプレイボーイ誌にスカウトされ、同年10月、その表紙を飾って一躍脚光を浴びた。
それから「今月のプレイメイト」に抜擢され、テレビドラマ『ベイウォッチ』にも出演した。そして95年、夫のトミー・リーとのセックスを撮影したホームビデオが盗まれる事件が起きた。映像が無断で販売されたことでアンダーソンは時の人になり、今日に至るまで悪意あるジョークのネタにされている。
シールズのドキュメンタリー同様、『パメラ』もまた過去のトーク番組やイベントの記録映像を使って、アンダーソンをネタにした下品なジョークや、無神経で立ち入った質問を当然のように投げかける男たちの姿を映し出す。
インタビューを受ける彼女には、性生活や胸について何度も卑猥な質問がぶつけられる。彼女が自分の過去を語る場面を見た後では、それがひどく残酷に感じられる。
幼い日のアンダーソンは何度も性的な迫害を受け、必死に耐えて生きていた。6歳から10歳まではベビーシッターに性的虐待を受け、12歳で25歳の男にレイプされ、14歳でボーイフレンドとその友人6人にレイプされたという。