最新記事

天体ショー

緑のZTF彗星がまもなく地球に最接近(2月2日)どうやって見る?

Watch Final Hurrah of Green Comet Before It Vanishes for Good

2023年1月30日(月)17時04分
アリストス・ジョージャウ

いよいよ最接近の日が迫っている(画像はイメージです) Triphecta-iStock.

<最接近は日本時間2月2日の昼間だが、すでに観測情報も上がっている。裸眼で見つからない場合はオンライン配信もある>

緑色に輝くZTF彗星(C/2022 E3)が、まもなく地球に最接近する。条件がそろえば(もしくはネット配信を使えば)自宅から天体ショーを観察することもできる。地球からこの彗星を観測できるのは今回が最後になりそうだ。

ZTF彗星は昨年3月2日、カリフォルニア州サンディエゴ近郊にあるパロマー天文台で発見された。現在は地球から約5000万キロメートル離れたところを通過中だ。

「これは間違いなく、この天体を観測する一生に1度のチャンスだ」と、ポーツマス大学(イギリス)宇宙論・重力研究所のクリス・パティソン上級研究員は本誌に語った。

「何であれこんな珍しい天体を見るのは興味深いものだ。この明るさの彗星が地球のこんなに近くを通過するのは珍しいし、きれいな色だからなおさら興味深い」

彗星は凍ったガスやちりや石からできた天体で、太陽の周りを回っている。「宇宙の雪玉」と言われることもあり、太陽に近づくにつれてその放射を受け、ガスやちりを放出する。

このプロセスにより、彗星の核の周囲に輝く大気(コマと呼ばれる)と、2本に分かれた長い尾が形成される。今回のZTF彗星の場合、コマは緑色だ。

真っ暗な場所に行けば裸眼でも見える

今年の1月13日にZTF彗星は近日点に達した。つまり太陽に最も近づいたわけだ。地球に最接近するのはアメリカ東部時間23時(日本時間2月2日13時)で、その時の距離は約4200万キロ。その後は急速に太陽系を離れていく。

彗星が地球に最接近する前後、つまり最も明るく輝いて見える時期に合わせ、「仮想望遠鏡プロジェクト(VTP)」ではリモート操作できる望遠鏡を使ったライブ配信を行う予定だ。

配信は2月2日の午後1時に始まる予定。やはり遠隔操作できる望遠鏡を使ったオンラインサービス「テレスコープ・ライブ」の協力で、VTPではZTF彗星の画像を撮影してリアルタイムで公開する予定だ。

軌道を分析した結果から、ZTF彗星は2度と太陽系に戻ってこない可能性があると考えられる。たとえ戻ってくるにしても、長い長い時間がかかるはずだ。

現在のZTF彗星の明るさは6等星を少し下回るくらい。理想的な条件(照明の影響をほとんど受けない真っ暗な空)下であれば、裸眼で見ることができるはずの明るさだ。実際には、かなり難しいかもしれないが。

非常に暗い場所で裸眼で観察できたという報告もすでに上がってはいるが、見えたところで小さなぼんやりした点に過ぎない。たいていの人は双眼鏡か望遠鏡、それに天体観測用のアプリがないと見つけるのは難しいだろう。

天体観測の素人がZTF彗星を観察したいなら、インターネットのライブ配信のほうが間違いないかも知れない。

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中