日本の製造業は高齢者と外国人が主力、人口減少で革新的ヒットが生まれづらくなるこれだけの理由
THE FORECAST FOR SHRINKING JAPAN
少子化に伴う人手不足は、やがて年功序列や終身雇用といった日本特有の労働慣行を終わらせる。年功序列は定年などで退職する人数と同等か、それ以上の採用が安定的に続くことを前提としているからである。
年功序列が崩壊すれば雇用は流動化するので、終身雇用も終わる。企業はもはや、人々を支え切る存在ではなくなったことを認識する必要がある。
この1年間に生まれた子供の数をカウントすれば、20年後の20歳、30年後の30歳の人数はほぼ確実に言い当てられる。例えば、20年後の20代前半の人口は2022年に比べて4分の3程度となる。これほど減ったのでは、企業も人事計画を見直さざるを得なくなるだろう。大企業や人気業種でも、求める人材を十分採用できなくなるところが出てくるに違いない。
これほどの若年世代が減少するというのに、年功序列や終身雇用を無理に続けようと単純に定年年齢を引き上げたならば若手に閉塞感が広がり、各組織はマンネリズムに支配されることになる。少子化がもたらす最大の弊害は、各所で若い世代が極端に少ない状況が常態化し、社会や組織の活力がそがれることである。
同じようなメンバーで議論を重ねていても、似たようなアイデアしか出てこない。日本経済に新たな成長分野がなかなか誕生しなくなったことと、少子高齢化は決して無関係ではないのだ。
マーケットの縮小と人手不足の深刻化が避けられないというのに、人口減少などどこ吹く風と言わんばかりに、どの業界も大規模な事業計画がめじろ押しである。いまだに売上高の拡大を目指す経営者が少なくない。だが、このまま拡大路線を貫き、現状維持を模索していったならば、必ずどこかで行き詰まる。
日本が人口減少に打ち勝つには、マーケットが縮小しても成長するビジネスモデルへと転換するしかない。それには「戦略的に縮む」ことだ。各企業が成長分野を定め、集中的に投資や人材投入を行うのである。過去の成功体験や現状維持バイアスを捨て去ることが必要だ。
まずすべきは、人口減少がもたらす弊害を正しく知ることである。各産業はそれぞれ独自の課題も抱えるが、人口減少が主な産業や仕事にもたらす影響を見ていきたい。
製造業界に起きること
まずは日本のGDPの約2割を占める製造業だが、急速に高年齢化している(上の図参照)。経済産業省などの「2022年版ものづくり白書」によれば、34歳以下の就業者を2002年(384万人)と2021年(263万人)で比較すると121万人の減少だ。2021年時点の34歳以下は25.2%でしかない。