「西側には撃ち落とせない」 ──プーチンが極超音速ミサイル「ツィルコン」を実戦配備
Russia Touts New Zircon Missiles Can 'Overcome Any' Defense Systems
1月4日、ロシアの軍港セベロモルスクを出航したツィルコン搭載艦 Russian Defence Ministry/ REUTERS
<開発競争でアメリカに先んじ、西側のいかなる対空システムも破れるとプーチンが豪語する「ツィルコン」搭載艦が地中海に向かった。ウクライナ侵攻の終わりはますます遠い>
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は4日、核弾頭搭載可能な極超音速巡航ミサイル「ツィルコン」を搭載したフリゲート艦「アドミラル・ゴルシコフ」を実践配備したと発表。他の国にはツィルコンと肩を並べるような兵器はないと述べた。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相はプーチンとのビデオ会議で、アドミラル・ゴルシコフは大西洋からインド洋、そして地中海に至る航海に出たと述べた。同艦は「海と陸上のどちらにいる敵にもピンポイントで強力な攻撃」を行うことができ、実戦配備は大きな意味を持つ、とがロシア高官らは言う。
プーチンは軍の幹部らに対し、ツィルコンは「他に類を見ない最強兵器」だと労った。
「世界のいかなる国にも(ツィルコンと)同じようなものは存在しない」とプーチンは述べた。「非常に強力な兵器で、ロシアを外部の脅威から確実に守ると共に、国益を守る役に立つと確信している」
ツィルコンの配備は、ロシアがウクライナ侵攻を終わらせる気がないことを示している。開始から1年近く、侵攻は世界各国の指導者から非難を浴びてきた。
「さまざまな環境条件での演習」を予定
ショイグは4日、ツィルコンについて「いかなる先進的な近代防空・対ミサイルシステムをも出し抜くことができるのは間違いない」と述べた。一方でショイグは、アドミラル・ゴルシコフの航海の主な目的はロシアへの脅威に対抗するとともに、「友好国とともに地域の平和と安定を維持すること」だとも述べた。
ショイグはまた、同艦の乗組員は「さまざまな環境条件における」長距離巡航ミサイルや極超音速兵器の演習を行うだろうと述べた。
米FOXニュースによれば、同艦の実戦配備に先立つ数カ月前、ロシア国防省はツィルコンの発射実験成功を発表している。この時のツィルコンの飛翔距離は約1000キロメートルだったという。
一方、ロシアの独立系ニュースサイトのメデューサはツィルコンについて、「対艦超極音速ミサイルで、最高時速はマッハ9(音速の9倍)を超える」と伝えている。西側の既存の兵器では、探知、追尾、迎撃は困難だという(動画参照)。
プーチンは昨年、アドミラル・ゴルシコフがロシア海軍初のツィルコン搭載艦になると明らかにしていた。プーチンは「極超音速兵器の開発競争」においてロシアはアメリカを凌駕したと述べるとともに、ツィルコンの開発は西側の脅威に対応したものだと主張したとメデューサは伝えている。
伝えられるところでは、ロシアは他にもミサイルの性能試験も行っている。FOXニュースによれば核弾頭の搭載も可能な大型ICBM(大陸間弾道ミサイル)、「サルマート」の試験発射もその一例だ。