補助スタッフの数は少なくないのに、日本の教員の勤務時間が減らない理由
普通に考えれば、補助スタッフが多い国ほど教員の勤務時間は短いように思えるが、現実はどうか。<図1>は横軸に前者、縦軸に後者をとった座標上に47の国・地域を配置したグラフだ。
予想に反して,右下がりの傾向にはない(逆の傾向すらある)。日本はと言うと、補助スタッフ数(横軸)は国際平均と同じくらいだが、教員の勤務時間(縦軸)は飛びぬけて長い。学校の業務そのものが膨大であるためだ。
ただ補助スタッフだけ増やしても、グラフ上の位置がほぼ右側に水平移動するだけとなる。人手の確保も容易でない今、人海戦術で乗り切るだけでなく、業務の削減や業務遂行の効率化(ICT化等)にも力を入れるべきだ。グラフの左下にあるのは、それを実現している国々と言っていい。
2019年1月の中央教育審議会答申では、学校が担う必要のない業務が例示された。①登下校に関する対応、②夜間等の見回り・補導された児童生徒への対応、③学校徴収金の徴収・管理、④地域ボランティアとの連絡・調整、といったものだ。まずは、この種の業務を抹消することが求められる。膨大な業務はそのままで補助スタッフだけ増やしても、事態は改善されない。
<資料:OECD「TALIS 2018」>