南部州からNYにバス移送された不法移民は今どうなった?
Migrants Refuse to Leave NYC Hotel, Denounce Being Treated Like 'Dogs'
アダムズの事務所は本誌と共有した声明の中で、ブルックリンのクルーズ・ターミナルはワトソンホテルと同様のサービスを提供すると主張している。だが1月29日にバスで移送された不法移民たちは、テント村から出て、自分たちが目にした状況について抗議の声を上げている。
インターネット上に投稿されたテント村の写真や動画には、狭いスペースに折り畳みベッドが並んでいる様子が映っている。カスティリャーノは本誌に対して、新たな施設にはプライバシーがほとんどなく、400人以上の収容者に対してトイレが4つだけで、持ち込みを許されたスーツケース1個の保管場所もないし、携帯電話を充電するためのコンセントもないと語った。
ほかの複数の男性は、ニューヨークのウェブメディア「Gothamist」に対して、新たな施設はとても寒く、暖房もなければお湯も出ないと語った。
「あそこで犬みたいに寝るのはごめんだ」とカスティリャーノは言い、さらにこう続けた。「僕らが望んでいるのは、もっとましな生活だ」
ワトソンホテルの外では大勢の不法移民が野宿しており、テント村から誰かが戻ってくるたびに大きな歓声を上げている。1月31日午後に荷物を引きずって57丁目に戻ってきたある移民は、大きな拍手で迎えられていた。
複数の施設を転々と
アダムズの報道官は、ブルックリンに出来た新たな施設は暖房があって適切な温度管理が行われており、トイレも85~90あると説明。収容者一人ひとりに、荷物を収納するスペースが割り当てられていると述べた。
カスティリャーノをはじめとする不法移民たちがブルックリンのテント村に移るのを拒んでいる理由のひとつは、同施設が公共交通機関では訪れにくいレッドフックに設置されていることだ。ワトソンホテルの近くで仕事を見つけたり、英語のクラスに通ったりしている者にとってブルックリンへの引っ越しは、新たな職場や学校から約13キロも離れた場所に移ることを意味する。
ニューヨーク・ポスト誌は1月に入って、アダムズがニューヨーク市ホテル協会と2億7500万ドルの契約を結び、今後6カ月にわたって少なくとも5000人の移民を同協会に登録する300のホテルで受け入れる取り決めを交わしたと報じた。ただしニューヨーク市は、これらのホテルには家族連れの移民を優先的に滞在させたいとしている。
カスティリャーノは、今の一番の悩みは、少なくとも3カ月は確実に滞在できる場所を見つけることだと言う。ワトソンホテルに移る前には、ランドールズ島にある広さ約7800平方メートルの仮設の人道支援施設に滞在していたが、ここは開設から1カ月を待たずして閉鎖されてしまった。ニューヨークに来てからは何度も滞在場所が変わったため、地理には詳しくなったという。