最新記事

暴行警官

「フェンタニル」と聞いて逃げ出す警官の動画500万回再生

Video of Police Fleeing After Hearing the Word 'Fentanyl' Viewed 5M Times

2023年1月31日(火)20時35分
アレックス・フィリップス

警官の暴行に抗議するデモ(1月29日、カリフォルニア州オークランド) Laure Andrillon-REUTERS

<再び繰り返された警官による黒人の暴行死。全米が怒りのデモに揺れるなか、「フェンタニル」と聞いて逃げ出す警官たちの動画がツイッターで大ウケ>

ロサンゼルス市警の警察官たちが、「俺は(致死性の)フェンタニルを持っている」という声を聞いたとたんに逃げ出す様子を収めた動画が、ネット上で拡散している。ソーシャルメディアユーザーからは、警察官たちの逃走をあざける声があがっている。

背景には、テネシー州メンフィスで1月7日、通常の交通違反の取り締まりの際に、黒人のタイリー・ニコルズが警察官から殴打され、その後死亡した事件がある。警官の暴力を撮影したボディカメラの動画が公表され、全米で抗議行動が激化していた。

問題のフェンタニール動画は、ウィリアム・グードという人物が運営する警察監視アカウント「@FilmThePoliceLA」によって投稿されたもの。1月30日午前9時25分の時点で、視聴回数は580万回に達している。ロサンゼルス在住の撮影者が、路上にいる警察官たちに向かって、「フェンタニル。俺はフェンタニルを持っている」と言うのが聞こえる。すると警官の1人が「戻れ、急いで戻れ」と指示。さらに「走れ。走れ」と走り出す。

グードは、キャプションでこう書いている。「俺が『フェンタニル』と小声で言ったら、警官たちは逃げた。今もまだ逃げている」と

ジョージ・フロイドの遺体からも

フェンタニルは2ミリで致死量に達するという中毒性の麻酔薬。最近では、お菓子のように見える七色の錠剤が若者をターゲットに売られ、中毒死が急増している。

フェンタニルで警官を追っ払ったというツイートに反応する形で、ネットユーザーたちは、さまざまなGIF画像を投稿した。色のついた粉をかけ合うヒンズー教のホーリー祭、化粧用のフェイスパウダー、さらには、悪霊を追い払うために呪文を唱えるハリー・ポッター、という具合だ。

事件から3日後の1月10日にニコルズが死亡したことを受けて、警察への抗議行動が激化した。2020年5月25日にジョージ・フロイドがミネアポリス市警察の警官に膝で首を押さえられて死亡してから2年半以上が経つ。フロイド殺害の罪で有罪判決を受けた警察官デレク・ショービンの裁判では、フロイドの体内にフェンタニルが存在していたことが血液検査により明らかになったが、致死量に達しているとの判断はできなかったという。

警察の声明によるとニコルズは、危険運転の疑いで停められた。メンフィス市警は、ニコルズと警察官とのあいだに「衝突」があり、ニコルズは徒歩で逃げようとしたとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 7
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 8
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 9
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 10
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中