ロシアが本土攻撃に備える動き、不可解なその意味は
Five Signs That Russia Is Preparing for All-Out War
ロシア軍の核戦力を使った軍事演習。写真はICBMの「ヤルス』(10月26日、ロシア国防省がリリースした映像より)Russian Defence Ministry/REUTERS
<防空シェルターの設置や警察官の戦闘訓練など、本土攻撃への準備とみられる5つの兆候>
ウクライナ侵攻開始から8カ月。最近の動きを見ると、ロシアは自国本土が攻撃される事態を想定して準備を進めているようだ。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は自軍が膨大な損失を被り、じわじわと後退を強いられるなか、危険な賭けに出るしかない状況に追い込まれつつある。
9月21日には予備役30万人を召集する部分的動員を発令。次いでロシア軍が一部地域を占拠したウクライナの東・南部4州で、国際社会が無効とみなす「住民投票」を強行し、一方的に併合を宣言。さらに今月8日に起きたクリミア大橋爆発以降、ウクライナ各地へのミサイル攻撃を開始し、今も電力インフラの破壊をねらって激しい攻撃を続けている。
プーチンに忠誠を誓うチェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長は10月19日、「もうじき全てが変わる」と予告めいた発言をし、ウクライナ戦争が新段階に突入したことをアビールした。
ロシアは既に全面戦争へのエスカレートを視野に入れて準備を進めているとみられる。以下はそれを示す5つの兆候だ。
1. 経済を戦時体制に移行
報道によれば、プーチンは今週ロシアの産業の半分近くを戦時体制下に置いたという。ロシアの独立系メディア、モスクワ・タイムズが、モスクワに本社を置く証券会社ロコのアナリストの予測として、推定40%の産業が総力戦に備えて軍需品の供出を最優先する生産体制を取ることになると伝えた。