「こうすれば飲める!」宇宙飛行士のコーヒー休憩...無重力環境の専用カップが存在した
クリストフォレッティさんはこの動画に、「一杯の美味しいコーヒーを飲むのは、宇宙ではちょっと違った感じになる......見て!」とのメッセージを添えて投稿している。宇宙での生活のひとコマを明かしたこの動画は、Twitter上で現在までに35万回再生された。
国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士たちは、ちょっとしたコーヒー休憩の際にも地上とは違った工夫を取り入れているようだ。
パウチ容器に辟易した宇宙飛行士が考案
スペースカップは、宇宙ステーションおよび探査機向けの流体システムを専門に手掛ける米IRPI社が開発した。
米科学誌の『ディスカバー』によると、きっかけはNASAの宇宙飛行士であるドナルド・ペティさんだった。彼は2008年ごろ、パウチ容器から直接コーヒーを吸い出すのにうんざりしていたという。
そこで彼はIRPI社にコンタクトし、宇宙で使えるカップ製品を共に開発した。無重力では液体燃料を運ぶために、毛細管現象を使うことがある。この原理をもとにカップを試作したところ、非常にうまくいったという。2015年にはこうして完成したカップのうち6つがISSに持ち込まれ、宇宙空間での実験の一部に使用されている。
同社はこのカップを、一般向けにも販売している。NASAによりフライトに適するとの認証が与えられた設計となっており、オーダーメイドで制作されるという。
同社は「アートのかけらと科学、そして宇宙の歴史が一体となったとお考えください」と触れ込んでいる。価格は650ドル(約9万8000円)と高価だが、NASA公認の宇宙用具が手に入ると考えれば価値はあるかもしれない。
長期間を過ごすISSの快適性は、宇宙飛行士にとって重要な課題だ。NASAやESAの対応を待たずに、スペースカップのように宇宙飛行士自らがアイデアを出し実現していくことがあるようだ。