プーチンが密かに準備を進める「水中からの核攻撃」
Russia buying underwater weapons as concerns of nuclear submarines grow
ロシアの原潜(ロシア国防省による)Russian Defence Ministry/REUTERS
<放射能を含む大津波を発生させることができる原子力魚雷「ポセイドン」の発射実験に向けた準備が進んでいるとの情報も>
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の核威嚇に対する警戒は、主に空からのミサイル攻撃を想定して行われてきた。しかし、ロシアは密かに水中からの攻撃能力の開発に力を入れてきた。
10月10日付のロシア国営通信社のRIAノーボスチは、ロシアのルビーン海洋工学中央設計局が同国防省と協力し、10種類を超える水中無人機(UUV)の開発を行っていると報じた。同設計局の外国事業・軍事技術協力担当副局長であるアンドレイ・バラノフが、国防省との協力を認めた。
ロシア国防省は、8月にロシアで開催された国際軍事技術フォーラム「アーミー2022」で、水中ドローン「Surrogate V」を発表した。バラノフはこれらのドローンについて、以前は魚雷、ミサイルや機雷しか装備されていなかった潜水艦に、新たに際立った能力を追加するものだと述べた。
バラノフはRIAノーボスチに対して、「我々は昨年、初の自律型水中ドローンをお披露目した」と述べた。「今では10種類以上のプロジェクトが進められており、国防省と協力して作業を行っている。ルビーンには小型のものから大型のものまで、幅広い水中ドローンをつくる能力がある」
大津波を発生させる「終末兵器」
これに先立ち、イタリアのレプブリカ紙は、ロシアが「終末兵器」の原子力魚雷「ポセイドン」の発射実験を計画していると報じていた。ポセイドンは水中で長距離を移動し、爆発するとニューヨークなどの米沿岸都市を飲み込むような、放射能を含む大津波を発生させることができる。
国際ニュースサイトの「ユーラシアン・タイムズ」は、ロシア海軍が保有する重さ1万4700トンの原子力潜水艦「ベルゴロド」が、ポセイドンの発射実験を行う見通しだと報じた。ベルゴロドは、世界最大のタイフーン級原子力潜水艦に次ぐ規模の大型原子力潜水艦で、全長約184メートル。潜水時の排水量は最大3万トンにのぼる。ベルゴロドは白海にある基地を離れたと報じられており、ロシア北方のカラ海に移動してポセイドンの発射実験を行う可能性があるとみられている。
レプブリカ紙は「NATOが最近、加盟諸国に情報報告書を配布した」と報じた。「報告書は7月に就役したロシアの原子力潜水艦ベルゴロドの動きに関するものだ。ベルゴロドが今、北極海に戻っている」
NATOのある当局者は本誌に対して、情報報告書については一切コメントしないと述べた。