最新記事

中国政治

「習近平」トレンド入り、自宅軟禁やクーデターの噂で

Xi Jinping Trends Online Amid Coup Rumors, Canceled Flights

2022年9月26日(月)16時28分
イワン・パーマー

ウズベキスタンで開かれた上海協力機構の首脳会議に出席した習近平(9月16日、サマルカンド) Sputnik/Sergey Bobylev/REUTERS

<習近平失脚の噂にネットは大騒ぎだが、証拠は何もない。だが、そうした噂を勢いづけるムードはあると識者は言う>

中国の習近平(シー・チンピン)国家主席の名前が、ツイッターでトレンド入りした。習が自宅軟禁状態だとか、軍によるクーデターが起きたという根拠のない噂が飛び交っているのだ。

ツイッターでは#ChinaCoup(中国クーデター)というフレーズもトレンド入り。習が身柄を拘束され、中国の人民解放軍によって政権を追われたという真偽不明の噂を何万ものユーザーがリツイートして広めた結果だ。

この噂は、24日に北京上空を商用機がほとんど飛んでいなかったという話や、北京発の列車やバスがことごとくキャンセルになったという未確認情報と相まって大きな話題となったが、信頼できる情報源から出た話ではなかった。

北京首都国際空港のウェブサイトには、北京発のフライトの一部がキャンセルになったとの情報が出ているものの、多くは定刻通りかすでに着陸している。一方で、軍事演習の予定があって、その間のフライトがキャンセルになったとの話も聞かれる。

ツイッターでは、9月22日にクーデターが起きたとの情報が飛び交う中、軍事車両が80キロメートルもの長い車列を作って北京に向かっているとする動画が繰り返しシェアされた。

この手の憶測が流れやすいタイミング?

だがこの動画は長さ1分にも満たないもので、実際に車列がそれほど長いかは確認できない。いつどこで撮影されたのか、車列がクーデターの一環として北京に向かっているのかどうかも定かではない。

ツイッターで1000万人のフォロワーを抱えるインドの政治家スブラマニアン・スワミが24日に投稿したツイートが、火に油を注いだ。「チェックすべき新しい噂:習近平は北京で自宅軟禁されている? 習が先ごろ(上海協力機構出席のためウズベキスタンの)サマルカンドを訪問した際、中国共産党の上層部は習を軍を統括する党の役職から外したらしい。その後で自宅軟禁が起きた。噂によればそういう流れだ」と、スワミは述べた。

一方、米国防総省でかつて中国・台湾・モンゴルを担当していたドルー・トンプソンはこれらの噂について「完全にでっち上げだ」と連続ツイートで断じた。

「習近平が拘束されたという噂が消えないのは、中国が政治的に非常にデリケートな時期にあるからだ。そして最近相次いだ共産党のベテラン幹部の裁判(と有罪判決)が、そういう噂が立ちやすい空気を作っている」とトンプソンは述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中