中国経済にとってコロナ規制が「続けるも地獄・やめるも地獄」な理由
China’s Lockdown Stagnation
だがコロナ規制をめぐる不安は、中国に長期停滞をもたらした要因のほんの一部分にすぎない。習政権の10年間で粛清や市民活動への弾圧が続いたことで、地方政府当局者たちはリスクを取る余裕を完全に失っている。
習のいわゆる「反形式主義」運動は、官僚が絶えず党の路線を実践することが要求される。つまり、彼らにとって最も安全なのは、ひたすら抑圧を続けること。そこに変化を持ち込む余地などない。
その根底には、地方政府の資金難がある。中国中央政府は1兆ドル近い資金不足に直面しており、その影響を大きく受けているのは地方政府だ。地方政府はこれまで資金不足を土地売却で埋め合わせてきたが、不動産危機で土地売買の市況も低迷している。
これらのどれ一つとして経済崩壊につながるものではないが、痛みの伴う緊縮財政や行き当たりばったりの政策は招きがちだ。現実的な変化は期待できず、国民への負担は重くのしかかる。
2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら