ウクライナ議会に親台湾の会派が発足、中国に絶望
China-Ukraine Dispute Simmers Over New Taiwan Group
ウクライナ議会で演説するゼレンスキー(5月22日、キエフ) Ukrainian Presidential Press Service/Handout/REUTERS
<「ウクライナと台湾は似ている」と親近感を抱くウクライナ議員の動きに中国は神経を尖らせるが、こうなった原因の1つは、中国が人を人とも思わない態度を示したからだ>
ウクライナ議会のメンバーが台湾の議員と協力関係を深めるための新しいグループを結成したことから、中国とウクライナの間に外交上の軋轢が生じている。
ウクライナ議会幹部が本誌に語ったところによると、最近発表した「台湾友好グループ」という新会派に対して、中国が外交的な圧力をかけきているという。
中国は、北京にいるウクライナの外交官に抗議文を送るなど反発を示しているが、ウクライナの議員によれば、その中心になっているのは范先栄(ファン・シアンロン)駐ウクライナ中国大使だという。
ウクライナ議会の外交委員会議長で、新たに立ち上げた親台湾議員グループの主要メンバーでもあるオレクサンドル・メレシュコは本誌に、中国は「外国の議会の活動に口を出そうとしている」と語った。
范大使は、この新会派設立の発表前から、設立を妨げる工作をしていた、とメレシュコは言う。台湾の議員もウクライナとの友好をめざすグループを設立している。
「設立を発表する前夜、中国大使は私に会おうとしたが、私は断った」と、メレシュコは語った。范が何を議論したかったのかは不明だが、メレシュコは新会派に関することだろうと考えている。
暗躍した中国大使
新会派設立が公表された後、范はヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の政党「国民の僕」の党幹部にも不満を申し立てていたという。メレシュコも同じ党に所属しているが、「幸いなことに、党幹部から個人的な圧力はうけていない」と、彼は語った。
匿名で本誌に語った別の議会幹部は、複数の議員が中国大使からこの新会派に関して電話を受けたことを確認した。
中国からの苦情について、ウクライナ大使館と同外務省に何度もコメントを求めたが、いずれも回答はなかった。中国の在ウクライナ大使館と中国外務省もコメントの要請には応じなかった。
中国は、台湾の国際的な外交活動に対して非常に神経をとがらせている。中国共産党は、台湾の国としての正当性を削ぐことに懸命になっており、台湾を承認している国に対し、中国の言い分を認めて、承認の撤回をするよう圧力をかけてきた。
ウクライナ議会の親台湾グループの一員であり、台湾政府とのより緊密な関係を長年提唱してきたインナ・ソブスンは、中国が懸念しているのは、ウクライナの対ロシア戦争が台湾が中国に抵抗する際のモデルになることだと言う。