韓国、観測史上最大の約450ミリの集中豪雨 半地下に住む女性など9人死亡、6人不明
8日夜、大雨で自動車が動けなくなったソウル江南区の道路 YONHAP NEWS AGENCY - REUTERS
<停滞する前線の影響でかつてない集中豪雨に見舞われた>
8日から記録的な大雨に見舞われた韓国では、ソウル首都圏を中心に9人が死亡、6人が行方不明となり、被災者はソウルだけでも400名以上となった。豪雨は9日も降り続いており、厳重な警戒が呼びかけられている。YTNなど韓国メディアが伝えた。
中央災難安全対策本部によると、今回の豪雨で9日午後3時現在、死亡8人(ソウル5人・京畿3人)、行方不明7人(ソウル4人・京畿3人・江原1人)、負傷9人(京畿)となった。
ソウル冠岳区では前日午後9時すぎ、半地下住宅に住んでいた40代の女性と妹とその10代の娘が浸水により閉じ込められ、救助要請をしたものの死亡した姿で発見された。また、銅雀区でも半地下住宅に住んでいた50代女性が浸水して死亡した状態で発見された。銅雀区ではほかに倒れた街路樹の整理作業を行っていた60代の区役所職員が切れた電線による感電で死亡した。
8日から9日午後までソウルに降った記録的大雨は、主にソウルを東西に流れる漢江の南側にあたる江南地域で集中的に降ったという。8日昼12時から9日午後5時までの29時間で、ソウル市では平均252.3ミリの雨が降ったが、これを上回ったのは、ほとんどが江南・瑞草区と隣接した地域で、特に気象庁のある銅雀区新大方洞の降水量が451.5ミリで最も多く、これは非公式ながら韓国の気象観測史上最大の降水量になるという。
まるでパニック映画のような惨状
今回の集中豪雨で一番大きな被害が出たのが高級住宅街として知られる江南地域だ。江南駅交差点では、大雨で下水がマンホールから逆流して、道路が水に浸かった。江南駅一帯は、ソウルの代表的な常習浸水地域と呼ばれる。周辺より10m以上土地が低く、周囲から降りてきた水が流れ込む地形のうえ、下水の排水能力不足等により、ひとたび大雨が降ると浸水してしまう。2010年9月と2011年7月にも集中豪雨で江南一帯が浸水する被害が発生している。
豪雨が弱まった9日午前9時になっても江南駅周辺は、まるでパニック映画のような混乱した様子だった。道路では蓋のないのマンホールから雨水が逆流し、周辺には泥水が溢れており、ゴミもあちこちに散らばっていた。歩道には割れた歩道ブロックなどが散乱して市民の通行を妨害した。バスを含めた多数の自動車が路上に放置された状態で、他の車両の進入を阻み、停電のために道路信号も止まった状態だ。
混乱しているのは道路だけではなくビルなどの建物もそうだ。江南駅周辺では出勤はしたものの、建物の内部に入れない会社員たちもいたるところで見られた。建物の電源供給が切れて停電しているため、正常な業務を行えないと、外で待機する状況だった。
このあとも西海岸から発達した雨雲が流れ込み、中部地方では局地的に1時間に50~100ミリの雨が降る見込みで、首都圏・江原・中南部の内陸・江原・中南部産地・忠清・慶尚北道・北西内陸・全羅北道北部は11日にかけて降水量が100~300ミリと予想され、特に忠清では降水量が350ミリ以上になることが予想されている。