「史上最長の死刑」死刑囚が3時間苦悶、遺体の肉は裂け...人権団体が糾弾
人権団体が非難「史上最長の死刑」
ほか、広範囲に紫色のあざと斑点、内出血の痕がみられたようだ。肘の内側はギザギザに裂けていたという。その付近には真紅になった注射針の痕が残り、そこから青緑色に変色したあざが放射状に走っていた。
矯正局は当初、正常な手順で刑が執行されたと主張していた。しかし後日、静脈注射の用意に手間取ったことで執行が3時間遅延したと認めている。
ニューヨーク・ポスト紙は、「3時間の痛みと苦痛」を伴う「史上最長の死刑執行」であるとして、人権団体が抗議していると報じた。
午後6時を予定していた刑の執行は大幅に遅延し、執行令状が読み上げられたのは9時3分になってからだった。同4分に薬物の注入が始まり、27分に死亡が確認された。同じ刑務所の受刑者によるとジェームズ死刑囚は事前に、自身の家族への謝罪、被害者家族への謝罪、そしてイスラムの祈りの3つを最期の言葉として考えていたという。
被害者遺族は死刑を望んでいなかった
だが、執行の瞬間を目撃したジャーナリストたちによると、彼は終始無言・無反応であり、最期の言葉を口にすることはなかった。矯正局が使用を否定している鎮静剤が用いられ、刑の実行以前に意識を奪われていた疑いがもたれている。
被害者遺族は死刑に反対し、終身刑の適用を望んでいた模様だ。米死刑情報センターによると遺族は、「命が奪われたからといって、州が(また別の)命を奪わないことを望みます。私たちはもう、ジョー・ネイサン・ジェームズ・ジュニアさんが私たち一家に向けた残虐性を許しているのです」と述べている。
ことアラバマ州では過去にも、残虐な刑の執行が問題視されている。ニューヨーク・タイムズ紙は61歳男性の死刑執行において、静脈注射のため「股間に6回刺し、膀胱に貫通させ、大腿部の動脈を貫いた」と報じている。この死刑囚は苦痛を抱えたまま時間切れで死刑中断となり、のちにがんで死亡した。
矯正局はメディアの質問を無視することでも悪名高いという。残酷な処刑の実態が明らかになるにつれ、閉ざされた処刑場の在り方に疑問が投げかけられている。