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中国共産党「中国経済の苦境」を認める異例の演説は、李克強首相と習近平との亀裂の現れ?
習近平との亀裂が深まっているとも言われる李(右)だが(3月、北京) Carlos Garcia Rawlins-REUTERS
<中国経済の現状について、党の公式見解とは距離のある主張をした李克強の狙いは何なのか。ベールに包まれた共産党内部の「力学」に憶測が飛び交う>
中国経済が減速するなか、李克強(リー・コーチアン)首相が5月25日、地方幹部ら10万人以上を動員したビデオ・電話会議を開いた。李が演説で話したのは、ほぼ悪い知らせばかり。国内経済は著しく悪化し、地方政府予算は縮小し、大規模なロックダウン(都市封鎖)が行われた2020年より状況はある意味深刻だ、と述べた。
対照的に、共産党の機関紙である人民日報は同日、中国経済の見通しの明るさと、習近平(シー・チンピン)国家主席の指導力をことさら書き立てた。
李が経済悪化を直視したことは、さまざまな臆測を呼んでいる。今秋の党大会を前に権力争いで李が優勢になっているのでは、習のゼロコロナ政策で亀裂が深まっているのでは、李が不況の責任を負わされているのでは、などだ。
こうした臆測が広がるのは、共産党内の権力闘争の内実が外からは全く見えないためでもある。唯一誰の目にも明らかなのは、李の言うとおり中国経済が苦境にあるということだ。
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