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ウクライナの「ジャイアントキリング」支えるトルコ製ドローンに世界から熱視線

2022年5月20日(金)17時02分
森田優介(本誌記者)
バイラクタルTB2

ウクライナの独立記念パレードに登場した「バイラクタルTB2」(2021年) ZUMA PRESS/AFLO

<ロシア軍の車列を攻撃する映像で世界を驚かせ、ウクライナで大きな戦果を挙げるドローンの輸出国としてトルコへの注目が高まっている>

軍事大国(のはず)のロシア相手に抵抗を続けるウクライナ軍。そこで戦果を上げているとされるのが軍用ドローン(無人機)だ、それもトルコ製の──。その名も「バイラクタルTB2」が上空からロシア軍の車列を攻撃する映像が世界中に流れた。驚いた人は多いだろう。

だが専門家は以前から、パイロットを必要としない安価なドローンが戦争を激変させると予測していた。武器輸出国のイメージはないが、トルコ製ドローンへの注目も実は近年高まっていた。昨年12月にはアメリカがエチオピアへの輸出に「重大な人道的懸念」を表明、売却相手を選ばないとトルコを批判していた。

トルコの軍需産業は2010年の37億ドルから17年には67億ドルまで急拡大し、輸出も伸びている。遠隔操作不要・人工知能(AI)で敵を追尾する新型ドローン「Kargu-2」もある。TB2は、ウクライナが19年頃から導入したとみられるほか、トルクメニスタンやキルギスなど19カ国に輸出・成約済み。アジア市場も狙っているとされる。

軍用ドローンの3大輸出国はアメリカ、イスラエル、中国だが、ウクライナ侵攻はこれ以上ない宣伝の場をトルコの軍需産業に提供した。

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