最新記事

ロシア

ルクオイルの元幹部が霊媒師宅で発見、相次ぐ新興財閥の不審死

Russian Oligarch Found Dead Under Mysterious Circumstances

2022年5月10日(火)19時19分
アンドリュー・スタントン

スペインの別荘で死んでいるのが発見された天然ガスの新興財閥セルゲイ・プロトセーニャ  facebook

<ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから複数のオリガルヒが相次いで不自然な死を遂げている>

ロシアのオリガルヒ(新興財閥)であるアレクサンドル・スブティンが週末に、シャーマン(霊媒師)の自宅で不可解な死を遂げた。現地メディアが報じた。

ウクライナ侵攻が始まって以降、ロシアでは複数のオリガルヒが不審な死を遂げている。

スブティンはロシアの民間石油会社「ルクオイル」の元幹部で、4月8日に首都モスクワの北東に位置するムイチシチにあるシャーマンの自宅の地下で死亡しているのが発見された。国営タス通信は心臓発作らしいと伝えるが、当局は刑事事件として捜査を開始した。

ある匿名の情報筋はタス通信に対し、スブティンは「死亡する前日に、大量のアルコールと薬物を摂取した状態で」シャーマンの自宅を訪れたと話した。遺体はこの家の地下にある、「ジャマイカ式のブードゥー教の儀式」に使われている部屋で発見されたという。

現地メディアの報道によれば、スブティンがシャーマンの自宅を訪れた目的は二日酔いの治療で、この治療にはガマ毒(ヒキガエルの耳腺から分泌される毒液)が使われるという。だが警察はこの報道を確認しておらず、スブティンが死亡した経緯の詳細は、9日午後の時点では明らかになっていない。

「即時停戦」を求めたせい?

タス通信によれば、当局は死因の特定を急いでおり、死亡時に血液中に薬物が含まれていたかどうかについても調査が行う予定だ。

スブティンが幹部を務めていたルクオイルは2カ月前に、ウクライナでの「即時停戦」を求める声明を出していた。同社は米国内の11の州でガソリンスタンドを運営しているが、アメリカの対ロ制裁のせいでロシアからの石油輸入ができなくなっている。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、西側諸国の制裁の標的にされてきたオリガルヒのなかにはウクライナ侵攻に反対の声を上げる者も出てきているが、その一方で不審死も相次いでいる。

4月22日には、天然ガス大手「ノバテク」の元副会長セルゲイ・プロトセーニャが、スペインにある貸別荘の庭で首を吊って死亡しているのが発見された。妻と娘もベッドで死亡しており、遺体には複数の刺し傷があったという。当局は、プロトセーニャが自ら首を吊ったのか、それとも自殺に見せかけて殺されたのかを捜査している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中