中国のミサイル実験の標的に自衛隊機の模型、台湾侵攻を想定
Satellite Images Hint at China's Taiwan Invasion Plans
PLANET LABS PBC
台湾政府が支援する軍事シンクタンク、国防安全保障研究所の蘇紫雲研究員によれば、自衛隊のE-767は有事の際、敵の部隊の動きを監視するうえで欠かせない存在だが、地上にいるときには最も攻撃に弱い。中国が砂漠に設置した模型は、先制攻撃能力の精度を上げる試みではないかと蘇は指摘する。
「弾道ミサイルの精度と正確さを向上していくことによって、その威力を高めることができる。それは主に、中国の政治目的の達成を助ける先制攻撃能力の拡大や、奇襲攻撃の能力の向上を目的としている」と、蘇は本誌に語った。
中国のタクラマカン砂漠は人民解放軍のミサイル発射実験場で、米軍でいえばホワイトサンズ・ミサイル発射場にあたる場所だ、と蘇は指摘した。「様々な新型ミサイルの精度をテストし、改良するために使われている。新しい戦略を開発するための重要な施設だ」
中国のミサイル発射場には、数多くの仮想標的の模型が存在することが確認されている。航空機や艦船だけでなく、米軍の前方展開部隊とその家族の大半が駐留する沖縄本島の米軍基地にある航空機格納庫などの固定軍事施設を模した標的も目撃された。
地対空ミサイルシステム「パトリオット」の編隊や、台湾の清泉崗空軍基地の模型もダミー標的として設置されている。「中国のミサイルの精度を試し、与える被害を評価するためだ」と蘇は言う。
日米の介入を封じる試み
米軍はこうした中国の動きに対応するため、グアムと沖縄のミサイル防衛と航空機の格納施設を強化しているという。
中国の陸海空軍の戦力は、台湾海峡の対岸にいる台湾軍をはるかに凌駕しているが、中国が台湾に対して確実に軍事行動を起こすとはいえない。中国政府が武力行使に踏み切るのは、習近平国家主席の正当性をめぐる国内政治の事情がらみになる可能性が高い。
台湾政府は、中国の政治的諸事情から判断して、少なくとも蔡英文総統の残りの任期中は、中国が台湾侵攻に踏み切る可能性はないとみている。だがアメリカの当局者は、中国が人民解放軍創設100周年にあたる2027年までに、日米の武力介入を跳ね返す能力を含む必要な軍事力を開発するつもりだと考えている。
ジョー・バイデン大統領は23日、東京での記者会見で、中国が台湾を攻撃した場合、アメリカは軍事力をもって台湾を防衛すると述べた。