人種差別に移民の葛藤... 英エンタメ界はなぜ「気まずい」テーマでヒットドラマを連発するのか
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感情を表わさないと言われる英国人だが、多様性への理解の深まりと共にメンタルヘルスについて語ることがタブーを抜け出しつつある。母親のダイアナ元妃を早くに亡くしたウィリアム王子・ヘンリー王子の兄弟も辛い経験を公にしたことは記憶に新しい。
本作品のウィル・シャープ監督も双極性障害があることを公表している。日英ミックスの彼は、2016年の『Flowers』でも精神疾患をテーマに据え、ブラックユーモア満載ながら独特の温かみを感じる作品に仕上げた。
英国エンタメ界に見る "Representation matters"の兆し
これら社会派作品が放つリアリティの背景には、多様性を尊重する"Representation matters"という考え方がある。人は自分と背景の似た人物(ロールモデル)を社会に見つけると、自分が認識され、価値が認められていると感じることができる、だから代表がいることは大切、という考え方だ。
例えば、車椅子を使う役柄が映画やドラマにまったく登場しないと、車椅子の利用者は自分が社会に受け入れられていないと感じやすい。すると意見が言いづらくなって、社会参加から遠ざかることになる。
最近英国では「メガネをかけたヒロインの映画を作ってほしい」とディズニーに直談判の手紙を書いた少女のことが話題になった。テレビ界にも十年以上前から、片腕の肘から先がないお天気キャスターや車椅子を利用する司会者など、体に障害のある人が出演している。子供番組も同様で、幼い頃から自然に多様性に馴染みやすい。また、プラスサイズのモデルを使って撮影するファッションブランドも増えている。
英国ドラマには、一筋縄ではいかない多文化社会を善く生きるためのヒントが詰まっている。多様化がますます進む中、今回紹介したひとひねりある作品から学べることは多いはずだ。
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●執筆:ラッシャー貴子
ロンドン在住ライター、英語翻訳者。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』(コーリー・スタンパー著、左右社)、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』(エハン・デラヴィ著、篠崎由羅編集、ヒカルランド)、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』(スティーブン・E・ルーカス著、狩野みき監訳、SBクリエイティブ)ほか。