最新記事

ウクライナ情勢

ゼレンスキー国連安保理で演説「最悪の戦争犯罪」 ブチャめぐり中国・インドも調査求める

2022年4月6日(水)09時31分
国連安全保障理事会でオンライン演説するウクライナのゼレンスキー大統領

ウクライナのゼレンスキー大統領は国連安全保障理事会でオンライン演説し、ロシアのウクライナ侵攻について、第二次世界大戦以降で「最も恐ろしい戦争犯罪」が起きているとし、国連の行動を促した。写真は同日、国連安全保障理事会でオンライン演説するウクライナのゼレンスキー大統領(2022年 ロイター/Andrew Kelly)

ウクライナゼレンスキー大統領は5日、国連安全保障理事会でオンライン演説し、ロシア軍が第二次世界大戦以降で「最も恐ろしい戦争犯罪」を犯したとし、ロシアの「説明責任は不可避」と言明した。

ゼレンスキー大統領は、ウクライナのイルピンやマリウポリ、ブチャなどで撮影された子どもの遺体や切断された遺体の映像を公開し、現地の惨状を訴えた。

国連安保理の常任理事国であるロシアが拒否権を握っているため、ロシアのウクライナ侵攻を巡り国連が行動を取ることができない現状に疑問を呈した。ロシアはウクライナを「沈黙の奴隷」にすることを望んでいるとし、国連が効果的に機能することを確実にするために国連の体制を改革するよう訴えた。

ロシアのネベンジャ国連大使は「ロシアの兵士と軍に関する大規模なうそを再び耳にしている」とコメントした。さらに、ロシア軍は民間人を標的にしていない点を挙げて「これが多くの予想ほど早いペースで進軍していない理由だ」と述べた。

中国の張軍・国連大使は、ブチャにおける民間人死亡の映像に「ひどく動揺」したとし、事実の検証を呼び掛けた。ウクライナ侵攻開始後、中国は国連で大半の投票を棄権し、距離を置いている。

軍事関連機器などでロシアに大きく依存するインドも、国連での投票を棄権しているが、ブチャでの状況を巡り独立した調査を要請した。

米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、世界の首脳が「ロシアのウクライナや世界に対する危険かつ理不尽な脅威に立ち向かう」必要があると強調した。

トーマスグリーンフィールド国連大使は4日、ロシアの国連人権理事会のメンバー資格停止を国連総会に求める意向を明らかにしている。

外交筋によると、国連総会は7日にロシアの資格停止に向けた採決を実施する公算が大きい。

国連のグリフィス事務次長(人道問題担当)は、ウクライナではこれまでに121人超の子どもを含む少なくとも1430人の民間人が死亡したとした上で、それも過小評価されている公算が大きいと述べた。

グリフィス氏はさらに、4日にモスクワでロシアのラブロフ外相と「率直な」会合を行ったとしつつも、「今後の道のりはまだ長い」と述べた。

グテレス国連事務総長はロシアのウクライナ侵攻について、「性質や激しさ、結果」という点で、国際秩序に呈された過去最大の課題の1つと警告した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック上昇、トランプ関税

ワールド

USTR、一部の国に対する一律関税案策定 20%下

ビジネス

米自動車販売、第1四半期は増加 トランプ関税控えS

ビジネス

NY外為市場=円が上昇、米「相互関税」への警戒で安
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中