その不安、実は「仮性不安」かも...まず疑うべきは脳ではなく「血糖値の変動」
It’s Not All in Your Head
睡眠のトラブルはたいてい、現代社会ならではのちょっとした要素により体内時計(概日リズム)が乱れることが原因で起きる。
私たちの体内時計は、光に強く影響される。私たちは、明るいときに目覚めて、暗いときに眠くなるようにできている。電気が登場するまで、このリズムが乱れることはほぼなかった。しかし、今日は体内時計が誤ったシグナルを受け取り続けている。
私たちは、昼間に屋内で人工の照明の下で過ごし、夜はテレビやコンピューターやスマートフォンの光を浴びて過ごす。テレビや電子機器などのスクリーンが発するブルーライトを日没後に浴びると、メラトニンというホルモンの分泌が抑制されて、就寝すべき時間になっても眠りに入りにくくなる。
乱れた体内時計を正常に戻すには、まず朝一番に明るい自然光を浴びること。夜は暗さを確保するために、デジタル機器の画面の明るさを暗くする夜間モードに設定するといい。日没後はベッドに入るまで、ブルーライトを遮断する眼鏡を着けることも有効だ。
最も効果が大きいのは、寝室にスマートフォンを持ち込まないことだ。スマートフォンは、ブルーライトにより体内時計を乱すだけではない。ソーシャルメディアなどを延々と見続けると、寝そびれて過剰に疲れた状態に陥る。そうなると、コルチゾールというホルモンが分泌されて、寝付けなくなりかねない。
昼間に明るい光を浴び、夜は暗い環境に身を置くように工夫をすれば、睡眠はかなり改善するはず。そうすれば、手ごわい不安の症状もすぐに和らぐかもしれない。
■腸内の健康と炎症
近年、腸の役割は単に食べたものを消化して吸収するだけではないことが分かってきた。腸内細菌が免疫系の司令塔の役割も果たしていることは、よく知られるようになった。
しかし、腸の健康が重要な理由はそれだけではない。睡眠不足と不安が双方向に作用するのと同様に、腸と脳の間でも双方向のコミュニケーションが行われているのだ。
不安になると消化の具合が悪くなりやすいことは、大半の人が知っている。一方、逆のプロセスも見落とせない。腸内環境のバランスが乱れたり、体に悪い食べ物を食べたりすると、その情報が脳に伝わる。腸が脳に対して、不安を感じるように指示する。
また、腸が炎症を起こすと、炎症反応を促進するサイトカインなどの物質が放出される。腸の炎症を引き起こす食材としては、大麦や小麦などに含まれるタンパク質であるグルテン、乳製品、工業的に加工された植物油(例えばキャノーラ油)などが挙げられる。