ウクライナで中国DJI社製ドローン分析製品が、ロシアによるミサイル誘導に使われている
DJI社は、治安当局などに限ってAeroScopeを販売していると説明している。一台数百万円前後からと高価なこともあり一般ユーザー向けではないが、一部には富豪が入手して自宅周辺の警備に利用しているとの情報がある。
ロシア側がAeroScope製品を入手すれば、ウクライナ軍と有志協力部隊が共同して飛ばしている偵察用ドローンの位置を一挙に取得することが可能だ。
フョードロフ氏は同社に宛てた文書のなかで、「ロシア軍はシリアを通じて入手したDJI AeroScopeの機能拡張版を利用している」と指摘。パイロットの位置を特定して攻撃するなどが可能であり、「状況は極めて危機的だ」と述べた。
Video shows risk of flying a DJI drone in Ukraine right now
そのうえでDJI社に対し、「ロシア連邦、シリア、またはレバノンで購入と初期設定がなされた、すべてのDJI製品をブロックする(使用不能にする)」よう求めている。これに対しDJI社は、AeroScope機能については技術的に「オフにすることができない」とし、要求を断った。
国際企業としての采配問われる
欧米諸国にも熱烈なユーザーを抱えながら、ロシアと繋がりの深い中国に本拠を置く同社にとって、難しい舵取りが続く。フョードロフ氏はまた、DJI社にロシアでの全ビジネスを停止するよう求めている。
英フィナンシャル・タイムズ紙は「西洋の多くのテクノロジー企業がこのような(ウクライナ政府による)嘆願に積極的に応じている」のに対し、ドローン業界首位のDJIは要求を「毅然とはねつけた」と指摘する。
ただしDJI社は、「望まれるのでしたら、この問題に関する協議を続けることも可能です」と述べ、妥協点を探る姿勢をみせている。
ある業界筋はフィナンシャル・タイムズ紙に対し、「同社は政治に巻き込まれたくないのだ」と述べ、技術企業として難しい立場に立たされたとの認識を示した。趣味用途として販売していたドローンが戦地で想定外に利用されている事態を受け、ドローンメーカーとしての対応が問われている。