将官が次々と死亡し暴徒と化すロシア軍
Winging It’: Russia Is Getting Its Generals Killed on the Front Lines
だが関係者によると、ロシア軍の指揮官は戦術的なミスも犯している。3月上旬にウクライナのハリコフ市郊外でビタリー・ゲラシモフ少将が殺害された後、ウクライナ情報当局は、ロシアの極秘情報専用通信機器の故障に不満を表す無線通信を傍受したことを発表した。ゲラシモフは、ロシア軍幹部ワレリー・ゲラシモフの甥とみられている。
約1カ月に及ぶウクライナ侵攻は、30年以上前のソビエト連邦崩壊以来、ロシア軍にとって最大規模の派兵となるようだ。1980年代のソ連による9年間のアフガニスタン戦争では、ピーク時に11万5000人の兵士がいた。チェチェンでの2回の戦争におけるロシア軍の戦力は10万人をはるかに下回っていた。ロシアは2008年にジョージア(旧グルジア)に、2014年にウクライナに、さらに少数の部隊を派遣し、時には軍服を着用しない部隊を使ってその動きを隠した。
侵攻4日目で戦死
アメリカはロシア人指揮官の死亡を確認していない。しかし、アメリカの当局者は同時に、テキサス州とほぼ同じ大きさの国であるウクライナに対する侵攻の規模と複雑さ、そしてロシア軍の死者が多く、隣国ベラルーシの遺体安置所が死者で溢れかえっていることを指摘した。
「この規模の侵攻となると、上級司令官、それも将官を現地に派遣するのは理にかなっている」と、米国防当局の高官は21日、匿名を条件に、戦況の率直な評価を記者団に語った。「ロシア軍にとって、このような規模は過去に例がない」
この国防当局高官によれば、ロシア軍は伝統的に、欧米の軍隊より厳格なトップダウンの指揮系統を持つため、下士官の柔軟性がはるかに低く、戦術的な意思決定の細部に至るまで、上級士官が関与しているという。「どのように組織され、どのように指揮するかという点では、大きな違いがある」
現在のところ、ロシアがその死亡を公表した指揮官はアンドレイ・スホベツキー少将のみだ。チェチェンおよび旧グルジアでの戦争と、2014年のクリミア併合を経験したベテランだが、ウクライナ侵攻からわずか4日後に戦死した。またウラジーミル・プーチン大統領は、情報漏えいと燃料浪費を理由に、ロシア国家親衛隊の副隊長を解任したと報じられる(ロシア国家親衛隊は、ロシア連邦軍とは別のロシア連邦政府に属する国内軍組織であり、大雑把に言えばアメリカの州兵に相当)。