ロシア「暗殺リストを作成」ウクライナ侵攻後、反体制派やLGBTなど標的に
「反ロシア派」筆頭はウクライナのゼレンスキー大統領 Denis Balibouse-REUTERS
<米関係筋によると、ロシアは侵攻後に拘束または暗殺の標的にするリストを作成している。武力攻撃の一方、内部対立を作り出し、反対分子を排除するのは典型的なロシアの流儀だ>
アメリカは、ロシアがウクライナに侵攻した場合、主要な政敵や反腐敗活動家、亡命中のベラルーシやロシアの反体制派を「標的」にする可能性があるとの情報を入手した。
バイデン米大統領は2月18日、早ければ数日中にも軍事侵攻が始まる可能性があると警告している。
米情報機関に近い4人の関係筋によると、ロシアはウクライナ侵攻時に拘束または暗殺の標的にするため、同国の政治家や有力者のリストを作成したという。
ある米政府当局者は匿名を条件に、アメリカはウクライナの特定グループに対し脅威に関する情報の機密レベルを引き下げ、同国政府や近隣諸国と共有できるようにしたと述べた。
「ロシアは脅迫と抑圧を通じて協力を強制しようとするだろう」と、別の米政府当局者は匿名を条件に語った。
「過去のロシアの作戦には、標的の殺害、誘拐・強制的な失踪、拘束、拷問が含まれていた。こうした行為の標的にされるのはロシアの行動に反対する人々──ウクライナに亡命中のロシアやベラルーシの反体制派、ジャーナリストや反腐敗活動家、宗教的・民族的少数派やLGBTのような弱者だろう」
標的リストには、ロシアの計画に反対する可能性がある全ての人物が含まれているようだ。
ファイブアイズ(米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国で構成される機密情報を共有する枠組み)の情報機関は、ロシア連邦保安局(FSB)やロシア軍参謀本部情報総局(GRU)が標的リストや殺害リストを作成している事実も把握している。
武力で軍事目標を制圧する一方、特殊工作員が内部対立を作り出し、情報工作員は相手国に潜入して反対分子を排除する──こうしたやり方は典型的なロシアの流儀だと、ある米議会スタッフは匿名を条件に言った。
ブリンケン米国務長官は17日の国連安全保障理事会で、ロシアによるウクライナ侵攻の想定シナリオに言及した。
「ロシアが計画しているのは通常兵器による攻撃だけではない。ロシアがウクライナの特定グループを標的にすることを示唆する情報がある」
イギリスの防衛シンクタンク、王立統合軍事研究所(RUSI)が2月15日に発表した報告書は、ウクライナ情報機関の高官数人への聞き取り調査に基づき、ロシアの情報機関はウクライナの地方政府に広く浸透し、侵攻時に地方政府の指揮を任せられる人物のネットワークを構築し始めていると主張する。