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北京冬季五輪

北京五輪、隔離施設での食事の不味さに選手ら悲鳴

Olympians Expose China's Poor Treatment of Them in COVID Quarantine Hotels

2022年2月7日(月)17時05分
ナタリー・コラロッシ

防護服を着た北京冬季五輪の客室係 Brian Snyder-REUTERS

<栄養バランスはおろか時間は不規則で量も少ない。スタッフの食事はまだましなのに、なぜアスリートにこんな扱いをするのか?>

4日に開幕した北京冬季五輪では、新型コロナウイルスの感染が確認された選手は隔離用の施設に移動させられる。だが隔離された選手たちからは、施設での食事のひどさや隔離条件の不透明さを批判する声が上がっている。

選手たちはソーシャルメディアへの投稿や出身国の選手団に対し、食事の量が足りず、おまけにまともに食べられるものがないとか、隔離の条件が不透明な点について抗議の声を上げた。

「胃が痛い。顔色もすごく悪いし、目の周りにはくまができている。もう終わりにして。毎日泣いている。本当にうんざり」と、ロシアのバイアスロン選手ワレリア・ワスネトコワは隔離施設の1室からソーシャルメディアに投稿した。

ワスネトコワはまた、「これまで5日間の朝食、昼食、ディナー」と称する写真を投稿。ソースのかかっていないパスタに焦げた肉、ジャガイモ少々が盛られた容器が写っているが、緑色の野菜は見当たらない。

またワスネトコワは、選手団のスタッフよりも選手の方がひどい食事を出されていると主張。彼女が投稿したチームドクターに出されたとされる食事の写真には、生の果物やサラダ、エビにブロッコリを添えたものなどが写っている。

このひどい食事のせいで「骨が浮き出る」くらい体重が大きく減ったとワスネトコワは言う。「本当に理解できない。どうして私たちアスリートにこんな対応をするのか?!」

隔離の基準があいまい?

AP通信によれば、ドイツ選手団の団長を務めるディルク・シンメルプフェニヒも中国側の「理不尽な」待遇を非難した。ドイツ選手団では、過去3つの金メダルを獲得したノルディック複合のエリック・フレンツェルがコロナ陽性となって隔離施設に入れられた。その後シンメルプフェニヒは、もっと広くて清潔な部屋、それに選手の体調を支えるために食事は時間通りに持ってくるよう求めて働きかけをしていると語ったという。

また、隔離の基準があいまいだという批判も選手から上がっている。

北京到着後に感染が判明した選手やスタッフは、症状があれば病院で治療を受け、症状がなければ隔離施設に送られることになっている。ところが一部の選手は陽性でありながら選手村内部での隔離を認められているのだ。

ベルギーのスケルトン選手キム・マイレマンスはソーシャルメディアで、隔離ルールに関する情報が不足していると問題提起した。隔離が終わる(はずだった)日に、別の隔離施設に移動させられたというのだ。

公の場で声を上げた甲斐あってかその後、マイレマンスの待遇は改善され、選手村に戻ることができた。ワスネトコワら他の陽性となった選手の食事や待遇も改善されたと伝えられている。

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