最新記事

後遺症

「怒りが込み上げてくる」、コロナ後遺症が1年以上も続く11歳少女の苦しみ

Girl, 11, Struggles to Walk, Needs Feeding Tube One Year After Catching COVID

2022年2月4日(金)18時02分
ロバート・リー
ティリー・アダムズ

ティリー・アダムズ @tilliesjourney/Instagram

<1年以上にわたって新型コロナの「後遺症」に苦しむ11歳の少女。コロナ感染者は年齢に関係なく後遺症を経験する可能性がある>

新型コロナウイルスに感染してから1年以上がたった現在も、後遺症のためチューブを通しての栄養補給を余儀なくされているイギリスの少女がいる。

英ミラー紙によれば、ロンドン東部に暮らす11歳のティリー・アダムズは2021年1月、新型コロナウイルスに感染した。数週間にわたって入院した後、今でもしばしば体調不良で学校を休まざるを得ない状況が続いているという。

アダムズは食事をとるのが困難で、体重も激減した。2021年夏以降、経鼻胃管(鼻から喉を通って胃に到達する管)で栄養を摂取している。

また、自宅の階段を上ることすら難しく、失神も何度か経験した。ミラー紙の取材に対し、アダムズは次のように語っている。「時々、怒りが込み上げてくる。学校に行きたいけれど、すごく難しい。あまりに疲れ切っていて、本当に何もできない日がある」

@tilliesjourney/Instagram


新型コロナウイルス感染症と診断された当初には、典型的な症状である嗅覚と味覚の喪失、頭痛、発熱を経験した。しかし、これらの症状はその後、頭痛、胃痛、食欲不振へと変わっていった。

その結果、外で遊ぶのが好きだったアダムズは、動くことを怖がるようになり、ベッドで過ごす時間が増えた。

年齢に関係なく後遺症の可能性が

英国民保健サービス(NHS)は、新型コロナウイルスの急性症状の後にも継続する症状、または後になって発現する兆候や症状について、「long COVID(新型コロナウイルス後遺症)」と非公式に定義している。

この名称は、4週間以上続いている新型コロナウイルスの症状と、ほかの疾患に起因しない症状が12週間以上続く後遺症に適用されている。

米疾病対策センター(CDC)によれば、新型コロナウイルスに感染した人は、年齢に関係なく後遺症を経験する可能性がある。それでも、子供や青年に見られることは少ないという。

CDCは、子供に最も広く見られる症状として、疲労や倦怠感、頭痛、不眠症、集中力の低下、筋肉や関節の痛み、せきを挙げている。

CDCのウェブサイトには、次のように書かれている。「新型コロナウイルス後遺症を防ぐ最善の方法は、新型コロナウイルス感染症を防ぐことだ。対象となる人は、できるだけ早くワクチン接種を受けることが、新型コロナウイルス感染症を防ぐ最善の方法であり、周囲の人々を守ることにもつながる」

アダムズは現在、ロンドンにあるユニバーシティー・カレッジ病院が行っている、子供の新型コロナウイル後遺症に関する研究に協力している。さらに、インスタグラムを使い、新型コロナウイルス感染症が大人だけの病気ではないことを伝えている。彼女の症状や体験が記録されているインスタグラムのアカウントは、すでに約5000人のフォロワーを獲得している。
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米の武器供給停止は誤ったメッセージ、駐米イスラエル

ビジネス

カナダ金融システム、金利上昇対応と資産価格調整がリ

ワールド

イスラエル首相、強硬姿勢崩さず 休戦交渉不調に終わ

ビジネス

Tモバイルとベライゾン、USセルラーの一部事業買収
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 2

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

  • 3

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 4

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 5

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    自民党の裏金問題に踏み込めないのも納得...日本が「…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中