ウイグル自治区トップ交代、習近平の狙いは新疆「デジタル経済と太陽光パネル」基地
広東省が如何にすさまじい発展を遂げたかに関して、おもしろいYouTube「中国各省区市 歴年GDP変化」がある。1978年から2020年までの中国の省や自治区および直轄市などの各行政地区におけるGDPのランキングを追っている。最後は広東省が中国一になっていく様子をご覧いただきたい(出典は「史図書」、個人の動画投稿者が作成)。
「中国製造2025」発布時期と一致
一方、2012年11月15日に中共中央総書記に就任した習近平は、翌12月に最初の視察先として深圳を選んだ。そこは父・習仲勲が「経済特区」と命名して開拓した地。鄧小平の陰謀によって16年間に及ぶ監獄・軟禁生活を強いられたあとの習仲勲の仕事への奮闘ぶりはすさまじかった(詳細は拙著『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』)。
その深圳で誓いを立てたかのように、習近平は北京に戻るとすぐにハイテク国家戦略「中国製造2025」に手を付け始めた(詳細は拙著『「中国製造2025」の衝撃 習近平は何を狙っているのか』)。
思うに、おそらくこの線上で、突如、馬興瑞を広東省に派遣することを習近平は決めたのだろう。だから異動のさせ方が尋常でない。
そしてこのたびの新疆行きで、馬興瑞は「質の高い経済発展を促進する」と言っている。これはいったい何を意味しているのだろうか?
新疆デジタル経済の急成長
2021年1月21日、新華網は<新疆デジタル経済は去年の10%増で、新疆GDPの26%を占める>と発表している。そこには以下のようなことが書いてある。
・5GやAIあるいはビッグデータなどの次世代情報技術と実体経済を融合発展させたことが奏功した。
・新疆では昨年(2020年)、長城(科技)集団(中国最大の国有IT企業グループ。深圳)や中科曙光(中国スーパーコンピュータ大手)が投資してウルムチ工場が稼働し、(新疆)ウルムチの情報技術イノベーション産業基地の構築を加速させた。
・(新疆)コルガス市の半導体チップ・パッケージング・テストプロジェクトの大規模生産が実現した。
・新疆ソフトウエア・パーク第1期に230企業がパーク入りした。
・新疆における5G基地局数はこれまでに6272カ所となり、5Gユーザー数は275万世帯に達した。新疆における産業インターネットの活用は新エネルギー、石油・天然ガス採掘、電力、設備製造など20余りの重点産業に広がり、デジタル化設計やスマート製造、ネットワーク連携などの新モデルが急速に普及している。
・デジタル経済大発展を推進することは、新疆の経済社会デジタル化を全面的に転換させる重要な転換点であり、エネルギーと化学、繊維と衣服、機械と設備、採掘産業などの主要産業で両者の深い統合を促進する(概略引用はここまで)。
このように新疆ウイグル自治区は、実はデジタル経済に関して意外なほど力を注ぎ、急成長しているのである。