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環境ドイツ、気候目標達成には今後8年でエネルギー使用20〜25%削減が必要
ドイツのハベック副首相兼経済相(気候政策担当)は11日、ドイツが設定した気候保護目標の達成には非常に大きな課題に直面しており、今後8年間でエネルギー使用量を最大25%削減する必要があるとの報告書を発表した。写真は2020年2月撮影(2022年 ロイター/Wolfgang Rattay)
ドイツのハベック副首相兼経済相(気候政策担当)は11日、ドイツが設定した気候保護目標の達成には非常に大きな課題に直面しており、今後8年間でエネルギー使用量を最大25%削減する必要があるとの報告書を発表した。
報告書によると、今後10年間で二酸化炭素(CO2)の排出量を1990年の65%に削減するという目標を達成するには、エネルギー消費量の20─25%を削減することが必要となる。
ハベック氏は記者会見で「この課題は大きい。非常に大きい」と述べ「10年から20年までは毎年平均1500万トンの排出量を削減できた。22年から30年までに毎年平均4000万トンの排出量を削減する必要がある」と指摘した。
ドイツが最大の加盟国となっている欧州連合(EU)は、30年までに排出量を1990年比で55%削減する目標を掲げている。気候変動による最悪の事態を回避するために設定された、2050年までに排出量を「実質ゼロ(ネットゼロ)」にするという国際連合の目標に向けた一歩となる。
しかし、地球温暖化による海面上昇が家族の農場を飲み込んでしまうと訴えた女性が起こした訴訟に対する憲法裁判所の昨年の判決により、ドイツはより厳しい目標の設定を余儀なくされた。
ハベック氏は、現在2ギガワットの陸上風力発電容量を、来年までに5ギガワット(GW)、27年までに10GWへそれぞれ拡大することを政府は目指していると指摘し、風力発電所や太陽光発電所への国の支援はさらに20年間継続される可能性が高いと付け加えた。
世界風力エネルギー会議(GWEC)のデータによると、1GWの風力発電容量は年間約130万トンのCO2を削減する。
ドイツでは、水素インフラを整備する間、風や日差しが弱い日のバックアップとして引き続きガスが必要になるが、ハベック氏は「石炭を単純にガスに置き換えるべきではない。それでは振り出しに戻ってしまう」と語り、ガスを他の化石燃料の長期的な代替物と見なすべきではないとの見解を示した。
ドイツ連邦統計庁の11日の発表によると、毎月の純収入が1300ユーロ(1475ドル)未満のドイツの世帯は、直近の年次データである20年に総支出の約10%をエネルギーに費やしている。全ての所得階層で、エネルギー費が消費支出の6.1%を占め、19年の5.8%から上昇した。
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