恋人を自殺に追い込んだ全米2例目の「テキストメッセージ殺人」
Inyoung You, Who Urged Boyfriend to Kill Himself in Texts, Pleads Guilty, Avoids Prison
自殺の直前にはボーイフレンドを必死で止めたインヨン・ユウ被告(2019年) David L Ryan-REUTERS
<ガールフレンドから2カ月で4.7万件もの暴言と虐待のメッセージを浴びせられた男子学生は卒業を前に飛び降りた>
韓国生まれで米国籍を持つインヨン・ユウは2021年12月23日、米マサチューセッツ州サフォーク郡上級裁判所で開かれた裁判で、自らの過失致死を認めた。同じボストン・カレッジに通っていたボーイフレンドのアレクサンダー・ウーテュラに自殺を促す大量のテキストメッセージを送り、自殺に追い込んだのだ。ウーテュラは2019年5月20日に自ら命を絶った。
ニュージャージー州シダー・グローブ出身のウーテュラが自殺したこの事件について、ユウは当初無罪を主張していた。だが司法取引の結果、ユウは懲役2年半、執行猶予10年の判決を受けた。執行猶予中の条件を順守すれば、ユウが収監されることはない。ユウは、メンタルヘルスの治療を受けるほか、社会奉仕活動を全うすることが義務づけられる。
ユウがウーテュラに送ったテキストメッセージは、自殺前の2カ月で4万7000件以上にのぼる。その多くは、数千回もウーテュラを侮辱し、「死ね」と自殺をそそのかす内容だった。自殺しなければ彼女が自分を傷つけると脅迫するメッセージも含まれており、ユウがこうしてテキストでウーテュラの心を支配しようとしていたと、ボストン・ヘラルド紙は報じている。
ユウは法廷で、ウーテュラにこれらのメッセージを送ったことを認めた。
「言葉は重要」
司法取引の一環として、ユウは今後10年間、メディアの取材を受けることをいっさい禁止されている。つまり、ドキュメンタリーや記者会見、メディアイベントなどで自らの言い分を話し、この事件から利益を得ることはできない。
捜査当局は、ユウとアレクサンダーの18か月間に及んだ交際について、「健全に機能していない、錯乱した関係」だったと述べた。12月23日の審問後に発表されたレイチェル・ローリンズ検察官の声明によれば、ユウは「ウーテュラに対して殺気立った態度をとり、ときには執拗に暴言を吐いたり、身体的かつ心理的な虐待を働いたりしていた」とされている。
ユウのそうした行為は、ウーテュラが自殺した日が近づくにつれて激しさを増していったという。
「言葉は重要である」。ローリンズは声明でそう述べている。「人を傷つける言葉遣い、嘲笑、暴言は、相手にきわめて大きな打撃を与えることがある」