利下げで賭けに出たトルコ・エルドアン大統領 インフレ進行で総選挙へ
11月27日に発表されたMAKダニスマンリクの世論調査によると、エルドアン氏のAKPと民族主義者行動党(MHP)の与党連合側、野党連合側は支持率がそれぞれ約39%で拮抗(きっこう)している。
また、メトロポールの調査では、エルドアン氏の支持率は6年ぶりの水準に低迷している。各種調査に基づくと、エルドアン氏は、アクシェネル氏のほかイスタンブール市長で野党の共和人民党(CHP)に属するエクレム・イマムオール氏などの候補に大統領選で敗北すると予想されている。
政府高官は「与党連合が支持を失っているのは明白だ。経済政策で成果を出す必要があり、それができなければ票が減るかもしれない」と語った。
耳を貸さず
一方、あるAKP幹部は、新たな政策が総選挙の頃には効果を発揮すると見ている。「もちろん難しい局面を迎えているが、今必要なのは時間だ」と言う。
ロイターが消息筋の話として伝えたところでは、エルドアン氏がトルコの「経済的独立戦争」と呼ぶ政策を巡り、政府内からも撤回を求める声が上がったものの、同氏は耳を貸さなかった。
エルドアン氏はこの2週間で6回もあった利下げを擁護し「後戻りはできない」と発言。しかし、そのほぼ全てのタイミングでリラは過去最低の水準に下落し、11月30日には一時1ドル=14リラを付けた。エルドアン氏が前の中銀総裁を解任し、積極的に金融緩和策を推進し始める前の2月は6.9リラだった。
食料品価格は前年から30%近く上昇し、リラ安が輸入物価やより広範なインフレ期待をあおり立てている。
イスタンブール・エコノミクス・リサーチのゼネラルマネジャー、カン・セルチュキ氏は「最も深刻な問題は高インフレだ。政府とエルドアン氏に対する有権者の心象は、さらに悪化するだろう」と述べた。
(Ezgi Erkoyun記者、Orhan Coskun記者)
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