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中台関係

中国に軍事力で劣る台湾が的を絞る非対称戦術

China Wants to Take Taiwan 'Without a Fight,' Says Defense Report

2021年11月12日(金)11時19分
ジョン・フェン

「中国が頻繁に仕掛けてくるグレーゾーンの脅しは、概して軍事的アプローチと非軍事的アプローチで構成されており、平和か戦争かどっちつかずの状態に置かれたこちらの弱味を突いてくる」と報告書では述べる。「台湾の戦闘力を消耗させ、信念と士気を揺るがし、最終的に『戦わずして台湾を奪う』ことを狙っている」

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「柔軟性と新たな軍事力の構築」と題されたこの報告書では、台湾の軍事力を、従来の軍隊から、中国相手に「非対称戦」を行うことを唯一の目的とするものに移行させる戦略が詳述されている。

「非対称戦とは、敵の主力を攻撃するのではなく、敵の弱点を攻撃もしくは利用し、作戦上の重心を乱すことを狙いとするものである」と報告書では説明されている。「われわれの非対称な利点を最大限に活用すれば、戦いを早く終わらせたいという敵の思惑をくじくことができる」

防衛計画の策定者たちは政府に対し、大型で高価なプラットフォームよりも、小型で精度が高く、操作しやすく、PLAの攻撃に耐えられる可能性が高い特定のタイプの武器に予算を割り当てるよう求める。

「台湾が抑止力を得るためには、PLAの強みに打ち勝てるような方法で、その弱点を効果的に攻撃できる能力を示す必要がある。PLAの弱点は、海上移動の段階に存在する。台湾軍は、台湾海峡という天然の障壁を最大限に活用し、柔軟に戦わなければならない」と報告書では述べられている。

「われわれは、自分自身を制限して、敵の上陸部隊が海峡を渡ってくるのを待つべきではない。そうではなく、敵を追いこみ、台湾の対岸地域からかなり離れた飛行場や港で軍隊を集結させざるを得ないようにする方策を用いる必要がある」と報告書は続けている。

(翻訳:ガリレオ)

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