欧州議会みごと!訪台によりウイグル問題を抱える中国を揺さぶる
訪台は、欧州議会内の「外国のEU民主主義手続き干渉対応のための特別委員会」の下で実施された。この委員会は、2020年12月2日に公表された「欧州民主主義行動計画」の理念と重なっており、行動計画は「自由で公正な選挙の促進」と「メディアの自由の強化」と「偽情報への対抗措置」から構成される。
偽情報に関しては台湾でも大陸(中国共産党)からのスパイが台湾に潜り込み、あるいはサイバー攻撃などによって、大陸寄りの国民党と独立傾向の強い民進党との間を引き裂き、台湾市民を大陸寄りに導こうとする動きに脅かされている。
EUと台湾の両者は、同じ脅威にさらされているという状況も共有しながら二国間投資協定を結ぶ方向で動いている。
一行は、3日に台湾行政院長(首相)の蘇貞昌氏と会い、4日には蔡英文総統と会談した。蔡英文は台湾社会の分断を狙った中国による世論工作を念頭に「偽情報に対抗する民主連盟を創設したい」と述べ、欧州と協力して対策強化に当たる考えを表明した。訪問団側も「欧州も全体主義国家の攻撃にさらされている」と強調、「偽ニュース対策で台湾の経験に学ぶ」と応じた。共同通信などが伝えた。
欧州議会、みごと!――CCTVは沈黙
このような一連の動きを中国が黙って見ているはずがない。
たしかにローマにおけるG20期間に合わせて台湾外交部長の欧州訪問を受け入れたEUの国々に対して中国政府は「一つの中国」原則を破り、「中国の核心的利益を侵害し、中国-EU関係の健全な発展を破壊する」と非難していた。
しかしその中国が、いざ欧州議会代表団が訪中すると、黙ってしまったのである。
本来ならば、11月4日には蔡英文総統と会談しているのだから、中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTVでは大きな特集番組を組んで抗議表明をするはずだ。ところがCCTV4(国際チャンネル)のお昼のニュースは、台湾に関して長い時間を割いているのに、欧州議会代表団の訪台に関して、ただの一言も触れなかったのである。
私は何十年にも及び、CCTV4のお昼のニュースを欠かさずに観察してきた。
本来ならば、このような事態になれば、CCTV4は大々的に抗議番組を特集するのが通例になっているのを知っている。
それをしなかったのは、なぜか――。
中国は中欧投資協定を何としても結びたいので、欧州議会を刺激したくないからだ。
ならば、ウイグル人権問題に関する報復制裁を欧州議会の要望通りに解除すればいいが、そんなことは出来るはずがない。ウイグルの人権弾圧を実行していることを認めた格好になってしまうからだ。