特殊部隊にいた文在寅、韓国の軍事的自立を追求 後継にも影響か
文大統領による軍事力強化の裏には別の要因もあり、特に顕著なのは、北朝鮮による脅威の増大に対する純粋な懸念だ、と当局者らは指摘する。
さらに、軍事力強化は国内の防衛関連企業にとっては新たなビジネス機会になり、国家としての威信を高め、文大統領としては「北朝鮮への歩み寄りによって韓米同盟が揺らいでいる」とする保守派からの批判をかわすことにもつながっている。
「力による平和」
韓国の軍事関係者は、文大統領にとって軍事力の強化は、米国への依存を弱めつつ、優位な立場で北朝鮮との和平を構築するための当然の一策であるとの考えを示した。
「文大統領の動きは重要な示唆を与えている。つまり韓国は、同盟各国の一部としてではなく、自ら率先して朝鮮半島和平の先頭に立つ用意がある、という意味だ」とこの関係者は述べた。やはりセンシティブな問題であることを理由に匿名を希望している。
「力に裏付けられた平和を推進する一方で、現政権は北との結びつきも諦めていない」と同関係者は言葉を重ねる。「北朝鮮が交渉のテーブルに戻ってくるよう最後まで努力するだろうし、その努力に沿って、戦争の終結という主題を提起してきた」
文大統領は9月の国連総会での演説で、朝鮮戦争の正式な終結を宣言することを呼び掛け、それによって、米国による制裁解除と引き替えに北朝鮮の非核化を目指す交渉においても停滞を打開しやすくなるだろうと述べた。
近年、北朝鮮は短距離ミサイルの試射を何度か実施しており、アナリストらによれば、韓国の防衛網を回避することを意図したものだという。また北朝鮮は韓国の動きに呼応する動きをいくつか見せており、韓国側に対抗する兵器展示会を開催したほか、韓国が独自の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験を行った数週間後には、やはりSLBMの試射を行っている。
北朝鮮は、韓国による兵器の調達や米軍との合同訓練について繰り返し抗議しており、韓国が軍備開発に対して二重基準を適用しつつ、自国の軍事力強化によって朝鮮半島の不安定化させていると批判している。
一方で、韓国当局者によれば、北朝鮮は都合に応じて、韓国の軍事的な動きを無視する、あるいは軽視しようという態度も見せているという。
「韓国の兵器が北朝鮮にとって歓迎すべきものでないことが明らかであるにもかかわらず、強い反発は見られない。それが通常の状態であることを装い、自国の兵器開発を正当化するという戦略ではないかと考えている」と最初に紹介した関係者は述べた。「だが、南北間に何ら軍縮のメカニズムや信頼構築のための手段が存在しない状況で、軍拡競争は非常に危険な方向に向かいつつある」
(Hyonhee Shin記者、翻訳:エァクレーレン)
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