最新記事

感染症対策

米製薬大手メルク、コロナ経口治療薬のジェネリック製造拡大へ契約締結

2021年10月28日(木)11時06分
米製薬大手メルクの新型コロナウイルス治療薬

米製薬大手メルクは、国連が支援する「医薬品特許プール(MPP)」とライセンス契約を結び、より多くの企業が新型コロナウイルス経口治療薬(写真)の後発薬(ジェネリック)を製造できるようにする。提供写真(2021年 ロイターMerck & Co Inc/Handout via REUTERS)

米製薬大手メルクは、国連が支援する「医薬品特許プール(MPP)」とライセンス契約を結び、より多くの企業が新型コロナウイルス経口治療薬の後発薬(ジェネリック)を製造できるようにする。メルクとMPPが27日発表した。

メルクによると、この使用料免除のライセンス契約は計105の低・中所得国に適用される。MPPが選定したメーカーは、メルクがリッジバック・バイオセラピューティクスと共同開発した薬「モルヌピラビル」の後発薬を製造できる。

同薬は早期投与により新型コロナウイルス感染の重症化や死亡のリスクが半減することが臨床試験で示されており、米食品医薬品局(FDA)は同薬の緊急使用許可を検討している。

企業はMPPにサブライセンスを申請することができる。技術移転を含むこのライセンスは、世界保健機関(WHO)が新型コロナのパンデミック(世界的大流行)を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と分類している限り使用料が免除される。

今回のMPPとの契約により、メルクが既に個別にライセンス契約を結んだインドの製薬8社以外にも製造基盤を広げることができる。MPPはロイターに対して最近、この薬の製造に関心を示した企業が24社あると明らかにした。

ただ、非政府組織(NGO)「国境なき医師団(MSF)」はライセンスの制限に失望感を表明。ライセンスの対象地域からブラジルや中国など、世界人口の半分近くを占め堅固な製造能力がある中上位の所得国を除外している点を指摘した。またMSFは、この協定にはライセンス契約の相手企業が特許に異議を唱える権利を損なう条項が含まれているとも指摘した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中