最新記事

皇室

眞子内親王が一般人に──女王が存在しない国は他にもある

Princess Mako: Countries Where Women Are Not Allowed to Reign As Queens

2021年10月27日(水)16時51分
ジャック・ロイストン
眞子様

天皇の姪で皇族だった眞子(2019年) Kim Hong-ji-REUTERS

<結婚で皇族の地位を失った秋篠宮家の内親王だが、もともと皇位継承権はなかった。同じような君主国はほかにもたくさんある>

秋篠宮家の眞子内親王は、婚姻によって皇室を離脱した。日本の皇族の女性には皇位継承権はない。世界的にも女性の王位継承を拒む君主国は少なくない。

眞子内親王は小室圭と結婚したが、それまでの数年、結婚についてさまざまな批判を受け、複雑性PTSDを発症したと報じられている。

この結婚により眞子は皇族の地位を失った。小室夫妻はニューヨークで新しい生活を始めることになる。

アメリカでは時代遅れと思われるかもしれないルールだが、それは日本の皇室に限られたことではない。

眞子内親王は現在の天皇の姪にあたるが、女性であるがゆえに皇位継承権はない。

現役の女性君主といえば、イギリスの女王エリザベス2世だが、実は珍しい存在だ。最初の子供が女子で、次に男子が生まれた場合、長女を飛ばして弟に王位を継承させる君主国は多い。

多くの国で、男性の後継者がいない場合は女性が王位に就くことを認めているが、なかには女性を完全に排除するケースもある。

モロッコでは王位を継承できるのは男性のみ。王冠は現国王モハメド6世が選んだ長男か、次男に引き継がれる。しかし、王は娘に王位を譲ることはできない。

モロッコの憲法は「直系の男子が存在しない場合、王位継承権は最も近い傍系の男子に、同じ条件で委譲される」としている。

イスラム教国が大半

オマーンもスルタン(君主)の後継者は男性に限られているが、最近まで男女を問わず直系の後継者が存在しないという問題を抱えていた。

2020年に亡くなったスルタンのカブース・ビン・サイドには子供がいなかった。誰が後継者となるかが問題になったが、結局、亡き王のいとこにあたるハイサム・ビン・タリク・アル・サイドが選ばれた。

サウジアラビアでは、王位は男性にしか継承されないが、世界の君主国の中では珍しく、明確な継承順位が決まっていない。

多くの君主制国家では、現君主の長子(長男)を経て、そのまた長子に王位が継承されていく。

アルジャジーラによると、サウジアラビアでは、王族が後継者の変更を決定することができる忠誠評議会が設置されている。

バーレーンの憲法では、王位は「王が生前に長男以外の息子を後継者に指名しない限り、代々、王の長男に引き継がれる」と定められている。

ブルネイの場合、「何人も、イスラム教の信仰を公に認め、王家の男系の合法的な子孫でなければ、合法的な相続人または合法的な後継者とはみなされない」、と憲法で定められている。

クウェートの憲法では、王の継承者は「イスラム教徒の両親から生まれた嫡出子でなければならない」とされている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報

ビジネス

米中堅銀、年内の業績振るわず 利払い増が圧迫=アナ

ビジネス

FRB、現行政策「適切」 物価巡る進展は停滞=シカ

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中