韓国の次期大統領選有力候補は、いずれも人気も実績もなく「最初から失格」?
与党・共に民主党の次期大統領候補、李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事 REUTERS/Kim Hong-Ji
<韓国の大統領選挙まで半年を切ったいま、各政党の有力候補者は、高感度が30%に満たず、いずれも実績や経験もなければ人気もない>
韓国の各政党は来年3月9日に行われる大統領選挙に向けて候補者選びを進めている。与党・共に民主党は10月10日、李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事を党の公認候補に選出し、保守系野党第一党「国民の力」は2回の予備選挙で候補者を4人に絞り込み、11月5日に公認候補を選出する予定だが、与野党の候補はいずれも国民の支持を得られていない。
「韓国のトランプ」とも呼ばれる李在明知事
韓国の政党は予備選挙を経て公認候補を選出する。左派系与党・共に民主党は、事実上、李在明京畿道知事と李洛淵(イ・ナギョン)前党代表の一騎討ちとなった。
共に民主党は党費を納める権利党員と代議員による地区投票と一般党員、事前登録した一般有権者による計3回の選挙人団投票を実施して、50.29%の過半数を獲得した李在明知事を公認候補に選出した。
李在明知事が公認候補に選出されると李洛淵陣営が異議を唱えた。共に民主党の選挙管理委員会は9月13日に出馬を辞退した丁世均(チョン・セギュン)前首相と同27日に辞退した金斗官(キム・ドゥグァン)元慶尚南道知事の得票を無効としたが、李洛淵陣営は、2人の候補が辞退する前に得た票を有効票として集計すると李知事の得票は過半数に達しないため、決選投票を行うべきだと主張した。党選挙管理委員会は李洛淵陣営の異議を棄却した。
李在明知事は京畿道の城南市長だった2016年、日本を「敵性国家」と述べ、18年には「(第2次大戦後)不幸にも日本は分割されず、代わって韓半島が南北に分割占領された」と述べるなど、過激な発言が多いことからドナルド・トランプ前米大統領になぞらえて「韓国のトランプ」と呼ばれている。
その李在明知事は大庄洞疑惑に関与した疑いが持たれている。2014年から16年にかけて京畿道城南市盆唐区大庄洞で大規模な都市開発が行われた際、「火天大有」が不正に収益を得たうえ、その不正利得を政界や法曹界に配分した疑惑で、検察は当時、城南都市開発公社の企画本部長だった李在明知事の側近のユ・ドンギュ氏を収賄容疑で逮捕した。
大庄洞開発事業は、城南都市開発公社が50%、複数の民間事業者が50%を出資した特殊目的法人(SPC)によって行われたが、1%を出資して参加した「火天大有」は開発業者公募の1週間前に設立されたばかりだった。
検察の捜査次第で李在明知事が大統領候補から脱落する可能性が浮上するが、李洛淵陣営は党内選挙で李知事と大庄洞疑惑を結びつける発言を行っており、党の分裂を危惧する声が上がっている。
一方、保守系野党・国民の力は尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長を洪準杓(ホン・ジュンピョ)国会議員らが追っている。
与野党の有力候補のなかで、閣僚経験者は2017年5月から20年1月まで文在寅政権下で首相を努めた李洛淵元党代表のみで、李在明候補は市長と知事、尹錫悦候補は検事の経験しかなく、李明博元大統領から環境相就任を打診されながら断った洪準杓候補も閣僚経験は一度もない。