河野太郎に好意的な中国──なぜなら「河野談話」否定せず
そこには以下のようなことが書いてある。
――注目すべきは、河野太郎氏の父親である河野洋平氏(元内閣官房長官)は、有名な「河野談話」の中で、第二次世界大戦中に日本軍が慰安所を設置し、他国の女性を「慰安婦」として強制的に働かせていたことに日本軍が直接関与していたことを認めていることだ。 河野太郎氏は10日(の記者会見で)、「河野談話」に代わる新たな「談話」を作るつもりがあるか否かという質問に対して、「自民党政権から引き継がれてきた歴史認識を引き継ぐ」と答えた。 (引用ここまで)
つまり、河野氏は「自民党政権から引き継がれてきた歴史認識を引き継ぐ」と言っただけで、「いえ、河野談話は引き継ぎません」とは言わなかったことに中国は注目しているのである。
何と言っても河野洋平氏は6月27日のコラム<河野太郎の父・河野洋平等が建党百年に祝電――中国共産党万歳!>に書いたように、中国共産党建党百周年記念に向けて祝電を送ったことで有名だ。中国はこのことを非常に喜んでいる。
だからこそ、環球網は河野太郎の現状を知らせるに当たり、「日本の産経新聞社と日本のフジテレビ・ニュース社が共同で実施した世論調査では、河野太郎氏が4ヶ月連続で次期首相候補のトップになっている。読売新聞が6日に発表した世論調査によると、太郎氏は18歳から29歳の間で32%の支持を得て、他の候補者よりも圧倒的に優位に立っています」と応援歌丸出しなのである。
環球網は9月10日の19:13時点での速報でも<河野太郎が日本の自民党総裁選へ立候補を表明 日本のメディアの世論調査で最有力候補>と、わざわざ「世論調査でトップ」ということを見出しで強調している。
中国の他の報道も「慰安婦問題」に注目
9月10日の「北京日報」は<日本の「ワクチン大臣」河野太郎が首相選に参戦、父親は慰安婦問題を承認>というタイトルで河野氏の総裁選立候補表明を報道している。
タイトルそのものに「慰安婦問題」とあるので、当然のことながら、「河野談話」が強調されていることがわかる。
そこには以下のように書かれている。
――記者から河野太郎の歴史問題に対する立場を聞かれ、彼は「自民党の一貫した立場に従う」と答えた。 河野太郎の父である河野洋平が内閣官房長官だった1993年に発表した「河野談話」は、「慰安婦問題」に関する調査結果に関して発表した談話で、朝鮮半島や中国などに「慰安所」を設置し、現地の女性を集めて強制的に「慰安婦」として充当したことに日本軍が直接関与したことを認め、そのことに対して謝罪と深い反省を示したものだ。「河野談話」は、「慰安婦問題」に関する日本政府の公式見解となった。(引用ここまで)
「河野談話」に関しては、事前に韓国とすり合わせていたといった情報があり、少なからぬ異論が出たものの、情けないことに歴代内閣は(渋々ながらも)「河野談話」を継承するとの立場を示してきている。