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スキューバダイバーに抱きつく野生アザラシ、愛くるしい映像から見えない一面も?

2021年9月10日(金)16時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ハイイロアザラシ

愛らしい見た目とは裏腹に凶暴な一面を持つハイイロアザラシ(写真はイメージです) ThomasFluegge-iStock

<このハグは「奇跡的瞬間」......ではない?>

海の中で男性にぴったりと体を寄せ、ハグをするハイイロアザラシ──なんとも愛らしい動画がソーシャルメディア上で話題になっている。

今回、映像が撮影されたのは英ノーサンバーランド沖にあるファーン諸島。スキューバダイバーで医師のベン・バービルが8月9日にツイッターに動画を公開した。それから1カ月の間に再生回数は1万回以上を記録している。

ソーシャルニュース配信を専門とするストーリーフルによると、バービルは20年近くアザラシたちの近くでダイビングをしてきたという。そのなかで、アザラシに脅威と思われないように潜る方法も身につけた。

北海で最恐の捕食者

ただし、この映像を見て安易に真似しようとしてはいけない。

ナショナル・ジオグラフィック誌によると、ハイイロアザラシはキュートな風貌をしているが、北海では「最も凶暴な捕食者」として知られているという。ハイイロアザラシは魚や甲殻類を食べるものと考えられてきたが、近年ではネズミイルカや他のアザラシを捕食する事例が報告されるようになっている。

すべての地域のハイイロアザラシに共通するものではないとしても、危険な存在であることには変わりない。

アザラシ専門家のギル・ベルは2016年のBBCのインタビューで、アザラシに近づかないようにと警鐘を鳴らした。彼女はアザラシを幼児に例え、「何でも口に入れる」と説明している。

今回の映像からは、ハイイロアザラシのそうした血生臭い一面を想像することは難しい。

「脅威を与えることなく潜るにはどうすればいいかを彼らが教えてくれた」

バービルのケースは偶然の産物ではなく、時間をかけて築いた信頼の賜物と見た方がいいだろう。

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