増長する習近平が今度は日米韓流「軟弱系」アイドル文化を断罪
Chinese State Media Backs Commentary Supporting Xi’s Crackdown on “Sissy Stars”
女々しく堕落したセレブの一人として問題の社説に取り上げられたウー・イーファン(7月20日、北京で雑誌の表紙に) Tingshu Wang-REUTERS
<「女々しい」男性アイドルや「推し」消費をアメリカや日本の悪しき影響と断罪、国防のために男らしくなければならないとする社説が登場>
中国の国営メディアは、アイドル文化と欧米の影響を厳しく取り締まる習近平(シー・チンピン)国家主席の方針を讃える論説を掲載した。
「根底的な変革が進んでいるのは、誰の目にも明らかだ!」と題したこの論説を書いたのは、元国営メディア主筆の李光滿で、中国版の微信(ウィーチャット)で発表されたという。習政権の規制強化の動きは中国共産党の創設者たちの理念に立ち返る「革命」の一環だと論じる。
「資本市場はもはや資本家たちが一夜にして富を築ける天国ではない」と、李は述べている。「文化市場はもはや女々しいスターたちの天国ではない。報道機関と世論はもはや欧米文化の礼賛に堕することはない」
所得格差の拡大で国民の不満が高まるなか、習は先月、「共同富裕(みんなで豊かになろう)」のスローガンを提唱した。共産党によれば、最近打ち出された一連の規制は、その実現に向けたものだ。
「男らしい文化」で対抗せよと主張
ここに来て中国政府は、未成年のオンラインゲーム利用時間の規制、ビットコインのマイニング(採掘)禁止、国内の大手IT企業に対する規制強化など、立て続けに厳しい措置を打ち出している。中国のセレブ熱もその対象だ。
中国当局は先週、プラットフォーム各社にアイドルやスターの人気ランキングの掲載禁止を通告した。さらに、「飯団」あるいは「飯圏」(飯はファンの意味)と呼ばれるファンコミュニティーが「カオス状態」になっているとして、関連グッズの販売にも規制をかけた。
中国でも、若年層のファンがお気に入りのアーティストの格付けを上げるために「投票権」目当てでグッズを買いまくるなど、「推し消費」が過熱。ライバル同士の飯団がディスり合戦を繰り広げるなど、熱狂的なファンの暴走が李をはじめ保守派の論客のひんしゅくを買っている。
中国の人気スターの一部は、明らかに韓国のKポップや日本やアメリカのアーティストの影響を受けていて、彼らは資本主義の価値観を中国に持ち込む「娘炮(女々しい)」アイドルだ、と李は記す。若者たちがその影響に染まるのを防ぐには、「活力に満ち、健全で、男らしい、強靭な人民中心の文化」を打ち立てなければならない。