最新記事

日本政治

崩れ去った菅首相の再選構想 岸田元政調会長が出馬表明、秋の政局は不透明に

2021年8月27日(金)11時13分
岸田文雄元政調会長

自民党総裁選の9月実施が決まり、岸田文雄元政調会長が出馬を表明したことで、菅義偉首相が描いてきた再選構想は崩れつつある。写真は岸田氏。2020年9月の自民党総裁選で撮影(2021年 代表撮影)

自民党総裁選の9月実施が決まり、岸田文雄元政調会長が出馬を表明したことで、菅義偉首相が描いてきた再選構想は崩れつつある。党内の重鎮は菅氏を支持する方向だが、その後に控える衆議院選挙で単独過半数割れ観測が浮上する中、若手を中心に党内は浮足立ち、総裁選の行方は不確実性が増している。

菅首相はこれまで、9月のパラリンピック閉会後に10月21日が任期の衆院を解散し、選挙で一定の成功を収めたうえで、総裁選を無投票で勝ち抜く計画を温めていた。自民党内の規定で総裁選は任期の10日前の期間に実施する必要があるが、党内協議で先送りをする予定だった。

それが総裁選は17日に告示し、29日に投開票する日程が正式に決まった。新型コロナウイルスの感染急拡大で東京などは9月12日まで緊急事態宣言が発出されており、「宣言中の選挙は国民の理解を得られない」(官邸関係者)ことから衆議院選挙を先行実施し、その後に総裁選を行う可能性が限りなく低下した。

消えた無投票再選のシナリオ

さらに岸田前政調会長が出馬することを決め、無投票で再選というシナリオもなくなった。安倍前首相の後継候補と見られていた岸田氏は1年前の総裁選で菅氏に敗れたものの、2位につけた。26日午後に開いた派閥の総会に出席した議員によると、岸田氏は出馬する理由について、幅広い選択肢を提供するためと説明した。

党重鎮の安倍晋三前首相や麻生太郎財務相、そして昨年の菅政権誕生の流れを作った二階俊博幹事長らは、菅首相続投を支持する姿勢を崩していない。二階幹事長は24日の会見で、自身が率いる二階派として首相の再選を支持するかとの質問に対して「当然のことではないか。愚問だ」と答えた。

しかし、岸田氏が正式に出馬したことで「首相に投票せず岸田氏に入れる議員・党員が急増する」(党幹部)との見方が出てきた。自民党総裁選は無記名投票のため、派閥領袖が支持する候補以外の候補に投票することが可能なためだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中