「金鉱の上に横たわる貧者」―アフガンの地下資源と中国
中国がタリバン側に立って国際社会で主張してくれる代わりに、ある種の「交換条件」として「China gets an all-clear from the Taliban to mine for copper in Afghanistan(タリバンの許可を得て、中国がアフガニスタンで銅を採掘する)」
という事態にまで発展しているが、2016年における中国側からの公式発表は何一つない。
ということは、これらは秘密裏に進行していたことになり、このときタリバンは「中国に30億ドルの鉱山プロジェクト再開の許可を与えた」と言っているが、アフガニスタン政府は、「過激派グループがほらを吹いているだけだ」とせせら笑っていた。このときメス・アイナク銅山がある地域は、タリバンが支配していたようだ。
運搬手段は「一帯一路」のインフラ投資につながる
問題は地下資源を採掘しても、それを如何なる交通手段で運搬するかということである。
パキスタンやアフガニスタン一帯は山だらけなので、パキスタンとは「パキスタン回廊」とまで呼ばれるまでに至るほど、「一帯一路」によってインフラが整備され物流に困難をきたすことはなくなったが、アフガニスタンには紛争が絶えないためにインフラ投資をするまでに至ってない。
2008年にメス・アイナク銅山の採掘権を30年間獲得した時に、中国冶金集団公司がアフガニスタンで南北貫通鉄道を作る話を具体化しようとしていた。
たとえば2010年9月にはAgreement signed for north-south corridor(南北回廊に関する協定を締結)が成され、アフガニスタン政府のワヒドゥラ・シャハラニ鉱山大臣と中国冶金集団は、カブールとウズベキスタン、パキスタンを結ぶ鉄道の詳細調査を行う契約を締結している。
また、2011年10月にはConstruction on Kabul-Torkham Railway to Start Soon, Ministry of Mines Says(カブール~トーカム間の鉄道建設が間もなく開始されると鉱山省が発表)といったニュースもあったが、それらは全て、2016年の「タリバンと習近平政権」の水面下の話し合いまで待たなければならなかった。
その「水面下の話し合い」が表面化したのが、8月15日のコラム<タリバンが米中の力関係を逆転させる>で書いた今年7月28日の天津におけるタリバン代表と王毅外相の会談である。