タリバンがアフガニスタンを奪い返す勢い──バイデンは何を読み違えたのか
What Happens If the Taliban Takes Control of Afghanistan?
米国防当局者は11日、ロイター通信に対して、米情報機関の分析を基に、カブールが30日以内にもタリバンに包囲され、90日以内に陥落するおそれがあるとの認識を示した。
こうしたなか、アフガニスタンから全ての米軍部隊を撤退させるというジョー・バイデン米大統領の決断に批判の声があがっているが、バイデンは10日、米軍の撤退について「後悔はない」と述べ、方針の見直しを否定した。アフガニスタン政府に対し、自分たちの国を守るために自分たちで戦うよう呼びかけた。
ワトキンスによれば、真の問題は、タリバンがいかにアフガニスタン政府を降伏させるかだという。カブールが意外に早く陥落する可能性はあるが、アシュラフ・ガニ大統領が戦わずしてカブールの支配権を放棄する可能性は低いとワトキンスは指摘する。
豪ディーキン大学の名誉准教授でアフガニスタンの専門家であるクロード・ラキシッツは、アフガニスタンの治安部隊に、ガニの政府のために命を懸けて戦う意思や意欲がないことが明らかになりつつあると語った。
「タリバンに追い風が吹いており、彼らがカブールを目指す道のりは、さほど困難なものではなくなるだろう」と彼は12日に本誌宛てのメールの中で述べた。「タリバン発祥の地であるカンダハルの大部分も、既にタリバンによって制圧されている。治安部隊は、これ以上抵抗しても無駄だという思いを強めるだろう」
連合軍の協力者たちに待ち受ける悪夢
ラキシッツは、タリバンが今後権力を掌握する可能性が高く、彼らは連立政府の樹立には関心がないだろうと言う。「タリバンは自分たちの勝利の匂いを嗅ぎ取っており、権力を共有する気などまったくない。彼らはガニを大統領の座から追い出したいと考えている。アメリカがガニを見捨てたことも知っている。バイデンも、決定を覆すつもりがないことをはっきりと示している」
タリバンが率いる政府はどのようなものになるか、という質問に対して、ラシキッツはこう答えた。「タリバンの勝利は何よりも、女性と子どもにとって悪いニュースとなるだろう。彼女たちが過去20年の間に苦労して手に入れた権利が、すべて無効になる。このことは、既にタリバンが制圧した複数の地域からの報告で分かっている。恐ろしいことになる」
またラシキッツは、タリバンがカブールに侵攻するまでには、政府や軍の高官たちはおそらく安全な場所に避難していると予想。だが後に残されたそれ以外の公務員や軍関係者は、手荒な扱いを受けるだろうと述べる。
「通訳や料理人、運転手など、連合軍に協力したことが分かっている者たちは、おそらく射殺されることになるだろう。既にこうしたことが起きているという複数の報告がある。ターゲットを定めた暗殺行為は、既に起きているのだ」
米軍撤退後のカブールに、地獄が迫っている。
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