北朝鮮が支援国・中国からの入国を徹底して禁止せざるを得ない事情
North Korea Refusing Entrance to Chinese Diplomats, Building Guard Posts Along Border
KCNA-Reuters
<同盟国で援助国でもあるはずの中国の外交官さえ入国させない姿勢。一方で政府の体制と金正恩の体形にも変化が>
北朝鮮は最近、中国外交官の入国を禁止したようだ。韓国の諜報機関が報告した。さらに、あらゆる違法な越境を阻止するため、国境沿いに監視所やコンクリート構造物を建設しているという。韓国の国家情報院(NIS)は7月8日、韓国の議員たちに向け、北朝鮮が中国人の入国を阻止していることについて非公開で説明したとAP通信は報じている。
説明会に出席した議員の一人、河泰慶(ハ・テギョン)によれば、北朝鮮はまだ外国製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを入手していない模様だということも、NISは明らかにしたという。最高指導者の金正恩がワクチン接種を受けた形跡もない、と河は述べている。
COVID-19ワクチンを全世界に配布することを目的とした国際連合支援のプログラムCOVAXは2月、北朝鮮は2021年前半に190万回分のワクチンを受け取る資格があると発表したが、北朝鮮から出荷の依頼はなかった。
北朝鮮は世界有数の秘密主義国家であり、その動向に関するNISの報告は、これまで全て正しかったわけではない。政府と無関係な専門家のなかには、金正恩とその側近は、非公式なルートで輸入されたワクチンを使用したのではないかと推測する者もいる。
説明会に出席した別の議員、金炳基(キム・ビョンギ)はNISからの説明として、北朝鮮政府は、外国からワクチンが届くのではないかという国民の期待を打ち消し、ウイルスに対する警戒を強化するよう促していると語った。
コロナ対策の失敗で高官たちを叱責
金炳基はさらに、ウイルス対策の一環として違法な越境を阻止するため、中国との国境沿いに監視所やコンクリート構造物を建設していると述べた。金炳基によれば説明会では、北朝鮮は主要な同盟国であり援助国でもある中国の外交官の入国さえも認めていないという報告もあったそうだ。
金正恩は最近、新型コロナウイルス対策の「重大な」失敗が「大きな危機」を招いたとして、高官たちを非難した。しかし北朝鮮政府は、自国領土にウイルスを入れたことはないと主張し続けており、外部の専門家から広く疑問視されている。
世界保健機関(WHO)の発表によれば、北朝鮮は6月24日までに3万1794人の検査を行い、すべて陰性だったと報告している。
金正恩は最近の演説で、国民に対して、COVID-19関連の規制が長期化することに備えるよう呼び掛けた。長年の失政と、核開発を巡る米国主導の制裁によってすでに壊滅的な打撃を受けていた経済が、COVID-19によってさらに大きな痛手を負っているにもかかわらず、北朝鮮はまだ国境を開くつもりがないことを示唆している。