教養として押さえておきたい「人権問題」「ワクチン外交」「気候変動」
LANET FLEM/ISTOCK
国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンが言うように、「世界の問題が自分に飛び火する時代」になった。各国・地域がどのように動いているかを知ることも教養の1つだが、国際情勢に影響を与える3つのグローバルな課題もぜひ覚えておきたい。
ウイグル問題だけじゃない人権問題
人種やジェンダー、民族、宗教など個人が主体のミクロな人権問題がマクロな国際政治に影響を及ぼす時代となっている。
特に近年は中国政府による香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害に国際的非難が集まっている。欧米各国がこぞって中国に制裁を科したほか、欧米と中国の双方で消費者による不買運動を生み、国際社会に亀裂が走る事態となった。
一方、米大統領選にも影響を与えたといわれる黒人差別に抗議するBLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大事)運動は、アメリカから世界中に広がり、各国の為政者にも無視できないインパクトを与えた。
共通するのは個人単位の動きがもはや国家にも無視できないうねりを起こしている点だ。SNSの普及も相まってこの流れは今後も止まらないだろう。
パワーゲームとしてのワクチン外交
新型コロナウイルスのワクチンを持つ国が持たざる国に対して提供する目的は2つある。命を救い経済再開を助ける人道上の理由と、援助をした国への影響力を高めようとするパワーゲーム的思惑だ。
その2つを織り込んだワクチン外交をいち早く進めたのが中国で、昨年末から自国企業シノバックとシノファーム製のワクチンをASEANや中南米など50カ国以上へ供給している。
一方、これを牽制したいアメリカはワクチンの公平分配を目指す国際枠組み「COVAX」を通じて5億回分(中国が世界に拠出するとみられる分とほぼ同数)の海外供給を決めた。
自国製ワクチンを有するロシアや生産設備を持つインドも供与に積極的だが、途上国への供給量は足りていないのが現状だ。